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研究開発力の将来について(その9) ~骨抜き放心2006~

 先日の投稿の続きです。

総務省の竹中懇談会,NTTのアクセス部門の分離方法に進展なし
(2006年5月16日:NikkeiBP ITpro Network)

 竹中平蔵総務大臣が主催する「通信と放送の在り方に関する懇談会」(竹中懇)は5月16日,第12回会合を開催した。今回は,座長を務める松原聡東洋大学教授が,報告書の骨子案を提示。これを基に議論を展開した。だが前回会合で明らかにした,NTT東西地域会社のアクセス部門を分離する方針についての結論は出なかった。

 懇談会終了後の会見には,竹中総務大臣と松原座長がそろって登場。NTTのあり方の議論に多くの時間を割いたことを明らかにした。しかし具体的な議論の内容に関しては,「NTTの問題点が経営形態とアクセス部門のボトルネック性にあることを構成員で再度確認した」(松原座長)と述べるにとどまった。

 松原座長は「1999年の再編時に選択した持ち株会社の配下に事業会社を置く組織形態は電話の時代の発想。IP化が進む現状にはふさわしくない」と発言。NTTの組織形態に見直しが必要なことを改めて強調した。また,「組織改変は(デジタル化とブロードバンドが全国に浸透する)2010年代初頭までに完了しないと,日本の通信と放送の発展にとってマイナスになる」という考えも明らかにした。

 アクセス部門のボトルネック性については,NTT東西地域会社のDSLと光アクセスのシェアを引き合いに出し,「DSLでは5割を大きく割り込んでいるのに光アクセスは6割に上る。メタルから光ファイバに移行するとボトルネック性は強まる」(松原座長)という見解を示した。ただしアクセス部門の分離方法に関して,機能分離にとどまるのか,さらに踏み込んで別会社に分離する,もしくはNTTの持ち株会社を廃止しNTTの事業部門ごとに資本分離するのかまでは結論が出ずに終わった。

 当初は今回の会合が最終会合になると見られていたが,NTTのあり方を含め複数の論点が次回持ち越しとなった。次回会合の日時は未定だという。しかし,懇談会の結論を政府の経済財政運営の基本方針である「骨太方針」に盛り込むことを考慮すれば,5月中の取りまとめが濃厚だ。

チャンネル削減やNTT再編 「決着不透明に」
(2006年5月17日:日本経済新聞 朝刊)

 竹中平蔵総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」は16日の会合で、公共放送であるNHKが制作した過去の番組をインターネットで全国に配信する仕組みを整えるべきだ、との意見で一致した。だかNHKのチャンネル削減やNTTの組織見直しなど、自民党などから反対が強い論点では意見がまとまらなかった。主要論点で具体策をどこまで報告書に盛り込めるか、不透明になってきた。

 懇談会は当初、16日に報告書をまとめ、与党と調整したうえで、政府が打ち出す経済財政運営の基本方針(骨太方針2006)に盛り込む段取りだった。しかし主要な論点で詰めるべき課題が多く残ったことで、会合後に会見した松原聡座長(東洋大教授)は「報告書が今月中にまとまるかどうかは未定」と述べるにとどまった。

 NHKとNTTともにそれぞれ大きな課題となっている業務・組織の見直しの具体案では結論が出なかった。

 NTT改革では「携帯電話やインターネットが普及した時代に、固定電話の競争促進を目指して再編した今の組織を前提にした状態でいいのかどうか」(竹中平蔵総務相)と、議論の論点を確認するにとどまった。

 NTT再編で常に話題となるのは、固定電話のNTT東西や携帯電話のNTTドコモが持ち株会社にぶらさがる現在の体制を解体し、各社を競争させる「分離・分割」論。だが「NTTを解体すると経営体力が弱くなり、地方への光ファイバーの敷設が遅れる」といった懸念が強く、早急なグループ解体の副作用を心配する声に押されている。

 竹中総務相は報告書の内容をあくまで骨太方針に反映する方針だが、与党との最終調整が難航するのは必至だ。

 アメリカかぶれの経済学者さんや、日曜コメンテーター学者さんには、ちと命題が難しすぎたかな、と。0xF9D1

 「持ち株会社にぶらさがる現在の体制を解体し、(云々)」とありますが、そもそもこの形態は、アメリカからの内政干渉に負けて、当時のお役人さん達が考えたもの(というか、AT&T解体の愚策をそのままコピーしたもの)だと思うのですが、違いますか?0xF9CA

 と言ってるそばから、内政干渉。

米、NTT強化を憂慮…総務省に意見提出
(2006年5月16日:YOMIURI ONLINE)

 総務省が15日発表した通信分野の競争政策に関する意見募集(パブリック・コメント)の結果で、米政府が「NTTグループが、有線・無線通信の統合を自社の利益のために不当に利用して、競争を妨げることがないよう求める」との意見書を提出していたことが明らかになった。

 米政府は、NTTが昨年11月に発表したグループ各社の連携を強化する内容の中期経営戦略について、「競争環境に有害」との懸念を表明。日本政府に「新規参入事業者や(KDDIやソフトバンクのような)競争事業者、外国の端末供給会社を妨げない競争環境の確保」を求めている。

 また、竹中総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」が、NTTがほぼ独占している電話局から家庭までの加入者線を、NTTグループから実質分離することを検討している点についても「注視している」とあえて言及し、関心の高さを示した。

 大失敗に終わった自分たちの愚策を、何食わぬ顔で押し付けてくるアメリカの厚顔ぶりにも、いい加減呆れてしまいますが、0xF9CA

 AT&Tもズタズタに切り刻まれ、かつて世界最高レベルの研究開発力を誇ったベル研究所も、あっちこっちのベンダーで売り買いされている間に弱体化し、いまや見る影もなし。
(アメリカは、国立研究所系が発達しているのと、海外から優秀な人材が流入してきているので、何とか持ち堪えていますが、日本ではそうはいきません)

 いまさら「アメリカ陰謀説」を唱えるほどアホではありませんが、それでも、「日本の国力を減退させようと、わざとやっているんじゃないか?」と勘ぐりたくなるほどのしつこさです。

 受けて立つ監督官庁も、旧帝大出の非常に優秀なエリート集団を多数擁しておきながら、出てくる具体策といえば、両極端な両者の案を、足して2で割ったようなステキな案。

 「骨太方針」が、「骨抜き放心」にならないように、牛乳飲んでがんばってくださいね~。0xF9D1

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