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2011年2月 Archive
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2011/02/27

 前回書かなかった、PCファンのPWM制御についてです。

 PCファンの回転数制御には、大きく分けて2つの方式があります。「電圧制御」と「PWM制御」です。

 「電圧制御」とは、その名のとおり、電圧の高低によって回転数を制御するものです。

 クルマの速度検出と同じような原理で、ファンの1回転で1パルス出るような「回転数センサ」からの情報を元に、ファンの駆動電圧を制御します。

 比較的簡単な制御のため、小規模な回路で構成できますが、回転数の制御の精度を、それほど高くすることができません。また、駆動電圧を絞った分は熱として失われてしまうため、電力の変換効率を高くすることができません。

#PCファンから出ているコネクタが3ピンのものが、この「電圧制御」によるものです。
 (グランド、電源、回転数信号の3本)

 一方、「PWM制御」とは、パルス幅変調(Pulse Width Modulation)を用いて回転数を制御するものです。

 パルス幅変調とは、パルスの「デューティー比」(パルスが1と0になっている時間の比率)を変化させるものですが、PCファンの回転数制御においては、駆動電圧を高速にスイッチングし、そのOnとOffになっている時間の比によって、回転数を制御するものです。
(PWM信号を積分すると、電圧の高低を制御していることと、原理的に等価となります。LEDの「ダイナミック点灯」においても、明るさの制御方式として用いられています)

 PWM制御は、PCファンの回転数を精度よく制御することができるため、高い精度を求められるCPUファンの制御や、ハイエンドマザーボードの多くで採用されています。

#PCファンから出ているコネクタが4ピンのものが、この「PWM制御」によるものです。
(グランド、電源、回転数信号、PWM信号の4本)

 今回購入した「ASUS Maximus IV Extreme」では、LGA1155ソケットのハイエンドモデルだけあって、最大8個のPCファンを接続することができ、しかも、そのすべてがPWM制御に対応しています。
(CPUファン、電源ファン、シャシーファン1~3、オプションファン1~3の、計8個)

 マザーボード付属のユーティリティーソフトを使えば、これら8個のPCファンの回転数をモニタしたり、動作ポイントをコントロールしたりすることができますが、職人としては、いちいちソフトを立ち上げなくとも、直感的に回転数を把握したくなったりします。

 ということで、少し工夫することにします。0xF9A0

pcfan140-01.jpg

 ScytheさんのPCファンコントローラー、「SCKM-1000」です。
(すでに販売終了のため、入手困難)

 最大4個の温度センサーをモニタすることができ、その温度に応じて、最大4個のPCファンをコントロールすることができます。

pcfan140-02.jpg

 3連メーターになっており、左から、サーモセンサーの「温度計」、PCファンの「回転数計」、オーディオの「ボリューム計」となっています。

#3連メーターといえば、その昔、こんなモノを作っていました。懐かしい。0xF9C6

 右上のツマミが、サーモセンサーの切り替え、左上のツマミが、PCファンの切り替え、左下のツマミが、PCファンの回転数の設定になっています。
(右下のツマミは、オーディオのボリューム)

pcfan140-03.jpg

 「ASUS Maximus IV Extreme」は、最大8個のPCファンをPWM制御できますが、電流容量は、合計で最大1.0Aまでとなっています。

 親和産業さんのPCファン、「GF-1425PWM20AO」は、動作電流が最大0.6Aとなっているため、2個も接続すれば、余裕で電流容量をオーバーし、マザーボードに負担を掛けてしまうことになります。

 そこで、ainexさんの小物をいくつか組み合わせて、解決することにしました。

 左側から、「ファンPWM信号4分岐ケーブル」、「PWMファン用二股電源ケーブル」、「PWM+ファンコン接続ケーブル」です。

 「ファンPWM信号4分岐ケーブル」を使い、PCファンの電源を、マザーボードからではなく、電源コネクタから直接取り出すようにします。

 「PWMファン用二股電源ケーブル」は、その名のとおり、PWM制御のPCファンの信号(4ピン)を、2分岐するものです。

 今回、140mmのPCファンを、トップパネルに2個、フロントパネルと底面にそれぞれ1個ずつ搭載しますが、それぞれのPCファンが独立に制御されている必要はありません。

 ここでは、トップパネルの2個を1セット、フロントパネルと底面の計2個を1セットとして、PWM制御することにします。

fan-xpert01.jpg

 マザーボード付属のユーティリティーソフト、「FAN Xpert」を使うと、CPU温度に対するPCファンの動作ポイントを、グラフィカルに設定することができます。

fan-xpert02.jpg

 ケースファンの動作モードを設定しているところです。

 青色のラインが標準の設定ですが、CPU温度が低い時は回転数を抑えて、できるだけ動作音が低くなるよう設定しています。(水色のライン)

2011/02/26

 最終的には水冷ですが、まずは空冷でどこまでいけるかチャレンジしてみます。0xF8A4

 単純に冷却性能だけを追い求めるのであれば、風量の多い(および静圧の高い)PCファンをガンガン回せばよいことになりますが、これではただの爆音マシンになってしまいます。

 冷却性能を高めつつ、静音化を図るために、口径の大きいPCファン(140mm)を、できるだけ低速で回すことにします。

 「CM 690 II Plus NVIDIA edition」は、最大で8個のPCファンを搭載できますが、このうち、140mmのPCファンを搭載できるのは、フロントパネルに1個、トップパネルに2個、底面に1個となります。

 ということで、140mmのPCファンを、4個搭載することにします。

pcfan140-01.jpg

 右側は、「CM 690 II Plus NVIDIA edition」に標準搭載されている140mmのPCファンで、左側が、今回搭載する親和産業さんのPCファン、「GF-1425PWM20AO」です。

 120mmのPCファンは、多数のメーカーから様々な製品が出ており、非常に選択肢が広いのですが、140mmのPCファンで、クリアフレーム、しかもPWM制御というのは、ネットやアキバでいろいろ探し回ったのですが、親和産業さんからしか出ていないようです。

#なぜに「PWM制御」にこだわったのかについては、つぎの記事で述べることにします。

 標準搭載のPCファンは、回転数:1,200rpm(固定)で動作音:19dBA、親和産業さんのPCファンは、回転数:800~2,000rpmで動作音:39.5dBAとなっています。

 動作音が40dBA近いのが若干気になりますが、これは最高回転数で動作させた時のもので、1,000prmあたりで動作させれば、ほとんど音は気にならないはずです。

 もっとも大きな違いは、標準搭載のPCファンは、風量が60.9CFMであるのに対し、親和産業さんのPCファンは、最大で153.47CFMもあることです。

 もちろん、この値は、最高回転数時のもので、低速で動作させれば、もっと値が落ちることになりますが、フィンの密度の違いからして、低速で動作させても、十分な風量が得られるはずです。

pcfan140-02.jpg

 親和産業さんのPCファンは、標準状態では青色LEDであるため、緑色LEDに交換します。

 交換する緑色LEDは、日本が世界に誇る日亜化学さんの「NSPG500DS」(購入価格:180円/個)です。

 指向角:15°で光度:37,700mcdもあり、直視すると目が痛くなるほどの明るさです。0xF9CF

pcfan140-03.jpg

 1つのPCファンに、4個のLEDが取り付けられています。ひとつひとつ、丁寧に交換していきます。(なによりも、1個180円もするので、失敗しないように)0xF9C7

 通常、LEDを他の色に交換すると、駆動回路を見直す必要がありますが、緑色LEDは、青色LEDと順電圧・順電流ともほぼ同じなので、そのまま交換することができます。
(NSPG500DSの順電圧(Vf):3.2V、順電流(If):20mA)

 アノードとカソードの両端子は、ショートしないよう、熱収縮チューブで保護しておきます。

 非常に細かい作業ですが、この辺りは「高輝度白色LEDポジションランプの製作」で培った技で、手慣れたもんです。0xF9C6

#いま振り返ると、10年も前のことなのですね。当時はまだ誰もやっていない、非常に珍しいことだったのですが、いまや普通になってしまいました。

pcfan140-04.jpg

 比較のために動作させてみました。右側が、標準状態の青色LED、左側が、交換後の緑色LEDです。

 「NSPG500DS」は、昔からある緑色LEDのようなくぐもったグリーンではなく、鮮やかなグリーンをしています。(ちょっとハデかなぁ)0xF9C7

pcfan140-05.jpg

 フロントパネルの140mmファンも交換しました。

 フロントパネルのPCファンは、取付位置を2段階で選ぶことができます。標準状態では、上段に取り付けられていますが、交換後は、ハードディスクの冷却効果を高めるため、下段に取り付けました。

pcfan140-06.jpg

 仮組みして動作させた状態です。

 NVIDIAのコーポレートカラーである、グリーンに統一してみました。0xF9F8

#5インチベイの上2段には、「Aquagate Max Limited Edition」が搭載されることになり、さらにグリーングリーンなことになります。

pcfan140-07.jpg

 こだわりついでに、小物にも気を遣ってみました。

 右側から、親和産業さんの「高性能制振ワッシャー付き25mm厚FAN用ネジセット」と「高性能制振ワッシャー」、ainexさんの「ゴムワッシャー付インチネジ」と「ゴムワッシャー付ミリネジ」です。

 「25mm厚FAN用ネジセット」は、M4×35mmのボルト+ナットに、ウレタン製の「制振ワッシャー」が付いています。

 ただし、ネジセット単体では、制振ワッシャーがボルト(のアタマ)側にしか付いていません。

 そこで、「制振ワッシャー」をナット側にも追加して、ボルトとナットの両方からPCファンを挟み込みこむことにより、ビビリ音を可能な限り低減させることにしました。

 「インチネジ」は、3.5インチHDDなどを固定する場合に、「ミリネジ」は、Blu-rayドライブなどを固定する場合に使用します。

 いずれも、ゴムのワッシャーが付いています。

2011/02/20

 光学ドライブは、Pioneerの「BDR-S06J-BK」(購入価格:20,480円)にしました。

bluray01.jpg

 BD-Rは12倍速書き込み、DVD-Rは16倍速書き込みです。

 PioneerのBlu-rayドライブには、リテール品の「BDR-S06J」と、バルク品の「BDR-206BK」とがあり、実勢価格は10,000円ほど違います。
(「BDR-206BK」の実勢価格は、11,000円前後)

 リテール品は、日本国内の工場で生産されていることに加え、PowerDVD9など、複数のソフトがバンドルされています。

bluray02.jpg

 もっとも大きな違いは、パイオニアのオーディオコンポーネントとも共通する「ハニカム構造」を持った筐体が採用されているとともに、ディスクの回転によって発生する空気流をも考慮した内部設計がなされていることです。

 また、「アドバンスド静音ファームウェア」が採用され、動画や音楽などの再生時には速度を抑え、データなどの読み書き時には最高速にするなど、ディスクの用途に応じた動的な制御がなされています。

 リテール品は、バルク品とは異なり、徹底した静音設計により、動作音の低減が実現されています。

 ついでに、

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 「Ultimate Tera Storage Machine」に向けて、ハードディスクも買い占めときました。0xF9F8

#HGSTのハードディスクにも、リテール品(BOX版)とバルク品があり、こちらは保証主体の違いがあります。
(リテール品はメーカ保証、バルク品は販売店保証)

 「HGST 0S03191(2TB SATA600 7200)」(購入価格:8,270円×4台)で、物理容量は8TBになりますが、RAID5を組むので、論理容量は6TBになります。

 これだけあれば、「BDZ-EX200」からゴリゴリキャプチャーしても、当分困ることはないでしょう。

2011/02/11

 PCケースを購入してから、いろいろしているうちに、改良型が発売されてしまいました。

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 我ながらクレージーですが、改良型をゲットしてしまいました。0xF9C7

 右側が「CM 690 NVIDIA Edition」で、左側が「CM 690 II Plus NVIDIA Edition」(購入価格:15,800円)です。

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 初代モデルに比べ、いろいろ改良されているようです。

 ベースとなる「CM 690 II Plus」は、最大で10個ものPCファンを搭載できますが、「CM 690 II Plus NVIDIA Edition」は、左側面のパネルがNVIDIAの化粧板となるため、最大で8個となります。

nvidia03.jpg

 とりあえず、組み込んでみました。

 エアフローを妨げないよう、ケーブル類はすべて背面配線としています。

〔関連情報〕
   ・Cooler Master、高拡張ミドルタワー「CM 690 II Plus」に新色モデル2製品を追加
   (2011年02月01日:ITmedia +D PC USER)
   ・「CM 690II Plus」にホワイトとNVIDIAカラーが追加!
   (2011年02月04日:ASCII.jp×自作PC)

2011/02/06

 いろいろ問題はありますが、

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 とりあえず、バラックで組み上げて、不具合がないかどうかチェックです。

#P67/H67チップセットのSATAポートのうち、2~5番の3Gbpsポートに問題があって、0~1番の6Gbpsポートには問題がないそうなので、ストレージは2台だけにしました。

ultimate-machine02.jpg

 LGA1155ソケットにセットした、Intel Core i7 2600Kプロセッサです。

 この後、Ainexの「シルバーグリス」(熱伝導率:9.0W/m・K)を、ヘラを使って、薄く均等に塗布します。

ultimate-machine03.jpg

 Corsair DOMINATOR GT(DDR3-2133MHz)です。深紅のヒートスプレッダが、マザーボードによくマッチしています。

#メモリメーカーは数多ありますが、完全に見てくれだけで選びました。0xF9F8

 ASUSのテスト済みメモリリストには載っていませんが、Corsairの適合リストには載っていたので、人柱覚悟で買ってみました。

ultimate-machine04.jpg

 PCケースに組み込まなくても、Ainexの「実験用スイッチ・LEDセット」を使えば、バラックの状態で電源を入れることができます。

ultimate-machine05.jpg

 とりあえず、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface、昔でいうBIOS)レベルでは動きました。ほっと一安心。0xF9C6

 アイドリング状態では、CPU温度は28℃前後でした。(室温21℃)

v6gt01.jpg

 右側が、Intelのリテールクーラー、左側が、Cooler Masterの「V6GT」(購入価格:7,400円)です。

 まだ高負荷状態ではテストしていませんが、かなり冷却性能は高そうです。

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