SOARISTO工房 Logo

人体検知によるドラレコ電源制御回路の製作(5) - 電源供給回路の改良

 またも、だいぶ間が空いてしまいましたが、前回の続きです。

 ドライブレコーダー(DataSystem DVR3000)を2台接続することから、必要十分な電源容量を確保できるよう、回路を見直すことにします。

Drive Recorder, NJM7805SDL1, NJM2396F05

 画像左側は、新日本無線の定電圧レギュレータ、「NJM7805SDL1」(30円/個)です。

 TO-252-3という小さなパッケージにも関わらず、出力電流は1.5Aまで取り出すことができます。

 画像右側は、同じく新日本無線の「NJM2396F05」(70円/個)です。

 TO-220F-4というパッケージで、一般的なTO-220(TO-220F-3)に、4本目の足が出ています。この4本目の足で、電源出力をON/OFFすることができます。(Hレベル(2.0V以上)またはオープンで、出力ON)

 こちらも、出力電流を1.5Aまで取り出すことができます。

Drive Recorder, NJM7805SDL1

 NJM7805SDL1を使って、電源回路を作ってみました。

 ブレッドボード用に、26mm×13mmと、コンパクトなサイズにしています。

 出力電流は1.5Aまで取れますが、放熱が厳しいため、PICなどの制御回路用の電源として使います。
(一応、パッケージは基板に直付けして、ヒートシンクを背負わせていますが)

Drive Recorder, NJM2396F05

 つづいて、NJM2396F05を使って、ドライブレコーダー用の電源回路を作ってみました。(大きさ31mm×31mm)

 2つの標準DCジャック(φ2.1mm)から、合計最大1.5Aの電流を取り出すことができる・・・、はずでしたが、上手くいきませんでした。

 ドライブレコーダーには、モニター左側に、動作状態を示すチップLEDが付いています。

 立ち上げ直後、ドライブレコーダーが正常動作している状態では、録画していることを示す「緑色」と、内蔵のバックアップ用バッテリーを充電していることを示す「赤色」が、交互に点灯します。
(充電状態に応じて、「赤色」→「橙色」→「緑色」と変化していきます)

 しかし、立ち上げ直後から、このチップLEDが、時折、不規則に点滅したり、さらにしばらくすると、ドライブレコーダーが突然リセットされ、再起動を繰り返すようになりました。

 いろいろと切り分けをした結果、以下の2つの原因があることが分かりました。

(1) 電源ケーブルの電流容量が足りない(ケーブルの芯線が細い)

 当初は、標準DCジャックではなく、USBコネクタ(タイプAメス)を使って、通常のUSBケーブル(タイプA - L型miniB)で電源を供給していました。これをPICkit3付属の赤いUSBケーブル(タイプA - miniB)に換えてみたところ、チップLEDの不規則な点滅は解消されました。

 内蔵のバックアップ用バッテリーを充電中の消費電流を調べたところ、予想以上に多く、600~700mA程度も流れていました。これでは、通常の信号用のUSBケーブルでは、芯線が細過ぎて、必要十分な電流が得られません。

 DVR3000付属の、シガーソケットから電源を取り出すケーブルを改造し、本回路専用の電源ケーブルを作製しました。

(2) 定電圧レギュレータの放熱が十分できていない

 動作中に定電圧レギュレータ(NJM2396F05)に触れてみると、火傷するかと思うくらい、チンチンに熱くなっていました。

 一応、パッケージの下にサーコン(サーマルコンダクタ)を敷いて、基板側に熱を逃がすようにしていましたが、さすがにブレッドボード用に小さくまとめた基板では、熱を受け止められないようです。

 NJM2396F05には、「サーマルシャットダウン回路」が内蔵されており、一定以上の温度となると、回路を保護するため、電源供給を停止するようになっています。放熱が十分でなく、「ヒートプロテクト機能」が働いたことから、ドライブレコーダーの不安定動作が引き起こされていました。


 これらを踏まえ、ドライブレコーダー用の電源回路を、さらに見直すことにします。

 定電圧レギュレータの熱対策を手っ取り早く解決するには、ヒートシンクを取り付ける方法があります。実際、秋月電子通商の安定化電源キットでは、パッケージの後ろに、巨大なヒートシンクを背負わせています。

 しかし、これだけヒートシンクが大きいと、ダッシュボードの下部などに設置できるような、コンパクトなプラスチックケースに収めることができなくなってしまいます。

 そこで、これまで使ってきた「シリーズレギュレータ」ではなく、新たに「スイッチングレギュレータ」を使うことにより、発熱を抑えつつ、コンパクトな電源回路を作製してみることにします。

Drive Recorder, muRata OKL-T/3-W12N-C

 こちらは、今回使用する、村田製作所のDC-DCコンバータ、「OKL-T/3-W12N-C」(450円/個)です。

 入力電圧は、最大14Vまでで、出力電流は、最大3.0Aまで取り出すことができます。(最大6.0A版もあり)

 スイッチング周波数は、最高600kHzで、負荷に合わせて、自動的に周波数が変化します。

Drive Recorder, ECOOL, AE-OKL-T/X-WxxN

 OKL-T/3-W12N-Cは、大きさ12.2mm×12.2mmと小型で、かつ端子のピッチが、2.29mmという特殊なピッチとなっていることから、専用の基板を利用しました。

 この基板には、パナソニック電工の「エクール(ECOOL)基板」という、“高熱伝導性ガラスコンポジット材料”が使われていて、モジュールからの熱を外部に効率的に伝えることができるようになっています。

Drive Recorder, muRata OKL-T/3-W12N-C

 さっそく、OKL-T/3-W12N-Cを使って、ドライブレコーダー用の電源回路を作ってみました。(大きさ49mm×40mm)

 専用基板を一部改造し、出力電圧を5.0V固定とするとともに、ON/OFF端子を活用し、外部から電源出力をコントロールできるようにしています。(Lレベル(0.8V以下)で、出力ON)

 試しに、2台のドライブレコーダーを接続し、動作させてみましたが、前述のような不具合は発生しませんでした。

 モジュールの天板に触れてみましたが、確かに熱くはなっているものの、ヒートプロテクト機能が働くこともなく、いまのところ安定的に動作しています。

#めでたし、めでたし。0xF9C6

(つづく)

Trackback(0)

Trackback URL: https://www.soaristo.org/mt/mt-tb.cgi/1163

Post Comment