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Electronics (Car) Archive
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 前回の続きです。

 E90 Lifeさんの情報に始まり、シュナウザーさんの機能アイデアと、msano7さんの実装アイデアを拝借したこの企画、いよいよ佳境です。

 純正のマルチファンクションスイッチの基板には一切の加工をせず、しかしながらスイッチの機能だけハッキングするために、フレキシブル基板を作ることにしました。

Thumb Shifter

 サクっと作ったアートワークです↑。
(微妙にズレているように見えますが、これは撮影の関係であり、実物はピッタリ合ってます)

 今回は、「ボイスコントロール・スイッチ」をActive Shifterの「Dモード復帰」に割り当てていますが、アートワークを少し変えれば、「テレフォン・スイッチ」を「シフトアップ」に、「ボイスコントロール・スイッチ」を「シフトダウン」に割り当てることも可能です。

 また、気合いを入れれば、アンバーLEDを、ホワイトLEDにリプレースすることもできます。
(今回はそこまでしませんが)

 ということで、純正に勝るとも劣らないクオリティーに仕上げます。

 前回の続きです。

 「ヒントは、逆流防止です」などという、もったいぶった言い方をしましたが、原理は非常に簡単です。0xF9C6

Thumb Shifter

 具体的な方法を説明する前に、ステップトロニックの制御についてお話しします。これまた、非常に簡単です。

 ステップトロニックのコントロールユニットには、シフトアップ・シフトダウンに対応する信号が入力されています。この2つの信号は、負論理になっています。例えば、シフトダウンさせようと思ったら、対応する信号線を、グランド(アース)に落としてやれば良いのです。
(これは、トランスミッションが、ステップトロニックでもSMGでも同じです)

 今回は、ハンドル内に取り付けたスイッチ(パドル)によってシフトチェンジさせようとするため、ハンドルの回転を考慮する必要があり、機構が若干複雑になる訳ですが、
 2つの信号線を取り出せて、かつアースの確保さえできれば、ハンドル内だけではなく、車内どこにでもスイッチを取り付けて、パコパコとシフトチェンジさせることができます。

 さて、今回は、マルチファンクションスイッチの左側の「ボイスコントロール・スイッチ」(以下、スイッチ)を使って、左右パドルの同時操作を模擬させようとする訳ですが、
 基本的には、スイッチを押下することにより、シフトアップ・シフトダウンに対応する信号が、同時にアースに落ちるようにしてやれば良いのです。

 しかしながら、ただ単純に2つの信号をスイッチに繋いでしまうと、シフトアップの信号がシフトダウン側に流れてしまうため(逆も同じ)、コントロールユニットがブッ壊れます。

 よって、片方の信号が、それぞれもう片方の信号に流れ込まないようにすれば良い訳です。

 ということで、わざわざ回路図を起こすほどのことでもないのですが、「Thumb Shifter」を実現するための回路図を、つぎに示します。

Thumb Shifter

 単に、スイッチの前に、ダイオードを2つかますだけです。部品代だけであれば、100円もかからずできてしまうと思います。

 ただし、電気屋さんとしては、「信号線にどの程度の電流が流れるのか(ダイオードの電流規格は)?」とか、「信号がチャタっても大丈夫なのか?」とか、「信号の最低保持時間は何10msなのか?」とか、いろいろ余計なことを考え始めてしまいます。(理系の悲しい性)0xF9C7

 まぁ、ステップトロニックのコントロールユニットには、その程度の入力マージンはあるだろうということで、あまり深く考えないことにします。0xF9CD
(チャタリング除去のためシュミットトリガ入れても良いのですが、ロジックICの電源確保がめんどくさいので止めときます。おそらく途中にかまされる「Active Shifter」が吸収してくれるだろうという安易な予測で)0xF9AB

 ということで、回路的にも、おサイフ的にも、非常に簡単にできてしまいます。

 あとは、純正のマルチファンクションスイッチを、どうハッキングするかです。

 前回、マルチファンクショスイッチの未使用のスイッチを活用して、Dモードに一発復帰させるアイデアをご紹介しました。この機能、msano7さん、シュナウザーさんのアイデアを拝借し、「Thumb Shifter(E60版)」と呼ぶことにしました。

 さっそくですが、また分解です。0xF9BD

#最近、「不具合」による不稼働ではなく、「改造」による不稼働がやたら多くなってきました。まぁ、ガソリンも高騰してますし、ちょうど良いかなと。0xF9C7
(ちなみに、不具合による不稼働は、これまでほとんどありません)

Thumb Shifter

 M-Sportステアリングのマルチファンクションスイッチ部です↑。

Thumb Shifter

 裏側です↑。

Thumb Shifter

 左手側のユニットを分離したところです↑。ALPS製です。

 左右別ユニットになっているということは、例えばM5用のユニットを入手することができれば、「ボイスコントロール・スイッチ」ではなく、「Mスイッチ」にしたりすることもできそうです。

#押したら「P500モード」で一気に507馬力っ!、な~んてことにはなりませんが。0xF9F8

 スイッチは4つありますが、コネクタのピンは3つしかありません。やはり、論理多重されていそうです。

Thumb Shifter

 さらに分解↑。

Thumb Shifter

 スイッチ部の基板です↑。

 PCのキーボードとまったく同じ機構で、プニプニしているラバーに接点があり、スイッチを押すことによって基板側の接点が短絡し、ONとなります。

 基板上には、チップ抵抗やイルミネーション用のチップLEDが載っています。

 ノーマルのイルミネーションは、アンバー(オレンジ色)ですが、チップLEDを付け替えれば、ホワイトにすることもできそうです。
(ただし、アンバーLEDとホワイトLEDは、定格電圧が微妙に異なるので、チップ抵抗も同時に付け替える必要がありますが)

 さてと、どう料理しましょうか・・・。0xF9A0

 この7月に、サウンドサイエンスさんの「Sound Shakit」が、マイナーチェンジしました。

 ということで、さっそくWeb限定販売モデルの「PA504-R2」(55,000円)を注文してみました。0xF9CF

 このモデルは、通常モデルの「PA504-G2」をベースに、フロント/リヤ独立のRCA入力が付け加えられています。

#「Walkman Connect」(iPodではない!)を、FM飛ばしなどではなく、ピンケーブルで直接接続することができます。(by ソニラー)0xF9C7

sound_shakit01.jpg

 マイナーチェンジ前のモデル「PA504-R」からの改良点は、こちらおよびこちらをご覧ください。

 簡単にいうと、Sound Shakitの心臓部が、アナログフィルタ(スピートンフィルタ)から、専用設計のDSPを用いたディジタルフィルタ(DRD-7Fs)に変更されています。これにより、S/N比が、74dB(PA504-R)から92dB(PA504-R2)に大幅に向上しています。

sound_shakit02.jpg

 ただし、サウンドサイエンスさんのHPでは、E60への取り付けについては、「電装系のセキュリティに支障を来す恐れがあり、取り付け可否の判断ができません。」となっています。

 しかしながら、この問題は、とある「おまじない」を施すことにより、容易に回避することができます。

 まずは、E60のオーディオ関係の信号を、WDS(電子配線図集)で解析してみます。

 にしても、前車のARISTOでは、Sound Shakitの取り付けにより、純正オーディオの音質が飛躍的に向上したので、BMWでもどうなるか、とても楽しみです。0xF9CF

#んでも、E60は、もともと純正オーディオのクオリティーが高いので、あまり変わらないというハナシも・・・。0xF9C7

〔関連情報〕
   ・サウンドシャキットの取付
   ・Sound Shakit (サウンドサイエンス)

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