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Car Archive

 前回の続きです。

 いえいえ、諦めるのはまだ早いです。

 一部では、独占状態にあぐらをかいて暴利をむさぼるショップなどがあるようですが、まったく、いかがなものかと思います。0xF9D1
(倍半分、違いますからねぇ)

 M5用の「SWITCH UNIT STEERING COLUMN」を、大枚はたいて購入する安直な方法もありますが、チャラいショップと同じことをしていたのでは、能がありません。
(個人輸入:4.2万円、ディーラー購入:6.2万円)

 よってからに、さらに分解。0xF9BD

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 ばらばらの図↑。
(センターリングを外すのが、けっこうたいへん)

#ほとんど自分でも、元に戻せるのか不明。0xF9C7

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 ふむふむ、ほっほぉ~。0xF9C5

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 なるほどっ!0xF9A0

 ってことは、こことここを、こうしてと。

 うむ。美しい、美しすぎるっ!

#と、自画自賛。0xF9C7

 ということで、M5用を買わずとも、530i用にちょこっと工夫を施すことで、見事に解決できてしまいました。どうやったかは、皆さん、想像してみてください。
(ほとんど答が見えていますが)

 これにて、まともに部品を買うより、4~6万円もゲインしました。このお金は、また別の改造の原資にということで。0xF9F8

 前回の続きです。さらに深~く、ディープな世界に潜行します。0xF9C7

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 左側が530i用、右側がM5用です↑。外観に違いはありません。
(赤色のものは、搬送時のニュートラル位置保持用のピンであり、装着時は取り外します)

 ステアリングの軸を中心に、左右それぞれに6Pコネクタがあります。右側にある6Pコネクタ(X01006)のうち、M5用には、1番ピンと6番ピンが出ていますが、530i用には、これらはありません。
(530i用というよりは、日本仕様には無いのかも知れません)

 それぞれ、「SMG+」(6番ピン、赤-黒)、「SMG-」(1番ピン、緑-白)に対応しています。

 さてここで、なぜこの部品が「COIL SPRING CARTRIDGE」と命名されているのか、みてみましょう。

 ステアリングホイールには、ホーン、エアバッグをはじめ、マルチファンクションスイッチ、イルミネーションまで、実にさまざまな電装品が付けられています。これら電装品の信号は、ステアリングコラムを通してボディー側に通電させなければならないのですが、ステアリングホイールは、車齢が尽きるまで、何100、何1000万もの回数、左右に回転させられます。ここに、通常のような配線(金属縒り線)を使っていたのでは、いずれ金属疲労で断線してしまいます。

 この「捩れ」を、どのように回避するかがカギになります。

 私は当初、金属接点が、切り株の年輪状に配置されていて(バウムクッヘンのように)、その上を、対向する接点が同心円状に滑ることにより、信号を伝えているのかと考えていたのですが、予想を大きく覆されました。

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 「COIL SPRING CARTRIDGE」を分解したところです↑。

 中に入っていたのは、細長く、短冊状に切られたフレキシブル配線板でした。これが、部品の内側の軸に幾層にも巻かれています。一方、その先は、180度緩く折り曲げられて、部品の外側の軸に固定されています。内側の軸が回転すると、この折り曲げられた部分が徐々に位置を変えながら、回っていきます。

 これにより、金属接点を使う機械的方法に比べて、大きく耐久性・信頼性を向上させることができます。さらに、横方向ではなく、縦方向に空間を使うことにより、配線の集積率をかなり上げることができます。

#う~ん、勉強になりますねぇ。0xF9C6

 つづいて、もう一つ重要な部品です。

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 「SWITCH UNIT STEERING COLUMN」です↑。

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 一部を拡大したところです↑。

 「COIL SPRING CARTRIDGE」にあった「SMG+/-」の信号が、この2つのコネクタに接続されます。

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 「SWITCH UNIT STEERING COLUMN」の裏側です↑。

 黄色のコネクタ(X10334)と、黒色のコネクタ(X1880)があります。黄色のコネクタは、CANバスの光ファイバコネクタです。
(ちなみに、CANとは、「Controller Area Network」の略で、「Car Area Network」は誤りです。ドイツのBOSCH社が提案し、その後、ISOの国際標準規格として標準化されたものです)

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 一部を拡大したところです↑。

 WDS(電子配線図集)に依ると、黒色の8Pコネクタのうち、5番ピンが「SMG+」、8番ピンが「SMG-」となっています。よって、ここから信号を取り出せば・・・、と思ったのですが、甘かったです。(E90のようにはいきませんでした)

 日本仕様では、5番ピンと8番ピンは「NC」(Not Connected)となっています。ボディーに装着した状態でいろいろと試してみましたが、ダメでした。

 この「SWITCH UNIT STEERING COLUMN」ですが、530i用が「61316962939」、M5用が「61316957524/61316962940」(ドイツ本国価格:299.00ユーロ、円換算:42,308円、国内価格:61,600円)もします。

 部品番号および価格が微妙に異なるところをみると、やはり日本仕様のものは、そもそもSMGに対応していない部品が付いているようです。

#もはやこれまでか・・・。0xF999

 前回の続きです。

 「ヒントは、逆流防止です」などという、もったいぶった言い方をしましたが、原理は非常に簡単です。0xF9C6

Thumb Shifter

 具体的な方法を説明する前に、ステップトロニックの制御についてお話しします。これまた、非常に簡単です。

 ステップトロニックのコントロールユニットには、シフトアップ・シフトダウンに対応する信号が入力されています。この2つの信号は、負論理になっています。例えば、シフトダウンさせようと思ったら、対応する信号線を、グランド(アース)に落としてやれば良いのです。
(これは、トランスミッションが、ステップトロニックでもSMGでも同じです)

 今回は、ハンドル内に取り付けたスイッチ(パドル)によってシフトチェンジさせようとするため、ハンドルの回転を考慮する必要があり、機構が若干複雑になる訳ですが、
 2つの信号線を取り出せて、かつアースの確保さえできれば、ハンドル内だけではなく、車内どこにでもスイッチを取り付けて、パコパコとシフトチェンジさせることができます。

 さて、今回は、マルチファンクションスイッチの左側の「ボイスコントロール・スイッチ」(以下、スイッチ)を使って、左右パドルの同時操作を模擬させようとする訳ですが、
 基本的には、スイッチを押下することにより、シフトアップ・シフトダウンに対応する信号が、同時にアースに落ちるようにしてやれば良いのです。

 しかしながら、ただ単純に2つの信号をスイッチに繋いでしまうと、シフトアップの信号がシフトダウン側に流れてしまうため(逆も同じ)、コントロールユニットがブッ壊れます。

 よって、片方の信号が、それぞれもう片方の信号に流れ込まないようにすれば良い訳です。

 ということで、わざわざ回路図を起こすほどのことでもないのですが、「Thumb Shifter」を実現するための回路図を、つぎに示します。

Thumb Shifter

 単に、スイッチの前に、ダイオードを2つかますだけです。部品代だけであれば、100円もかからずできてしまうと思います。

 ただし、電気屋さんとしては、「信号線にどの程度の電流が流れるのか(ダイオードの電流規格は)?」とか、「信号がチャタっても大丈夫なのか?」とか、「信号の最低保持時間は何10msなのか?」とか、いろいろ余計なことを考え始めてしまいます。(理系の悲しい性)0xF9C7

 まぁ、ステップトロニックのコントロールユニットには、その程度の入力マージンはあるだろうということで、あまり深く考えないことにします。0xF9CD
(チャタリング除去のためシュミットトリガ入れても良いのですが、ロジックICの電源確保がめんどくさいので止めときます。おそらく途中にかまされる「Active Shifter」が吸収してくれるだろうという安易な予測で)0xF9AB

 ということで、回路的にも、おサイフ的にも、非常に簡単にできてしまいます。

 あとは、純正のマルチファンクションスイッチを、どうハッキングするかです。

(注) E60/61への「Active Shifter」の取り付けに関しては、開発者"ひーくんさん"への直接の問い合わせは、しないでください。不明な点は、まずは当工房にご質問いただき、切り分け後、必要に応じて問い合わせを行うよう、必ずお願いいたします。

 さて、いよいよひーくんさんからお譲りいただいた「Active Shifter」(以下、AS)を取り付けます。

#この日をどれほど待ち望んだことか。0xF9CF

Active Shifter

 E60は、センターコンソールの内部が狭いため、とりあえずAS本体をブラボックスから取り出します↑。

 ASのハーネスには、つぎの4種類の配線があります。

   (1-1) シフト制御をするための入力信号線(純正ハーネスの4Pコネクタに割り込み)
   (1-2) シフト制御をするための出力信号線(純正ハーネスの4Pコネクタに割り込み)
   (2) Dモード検出用の信号線(純正のシフトポジション・インジケーターの信号線に割り込み)
   (3) AS用の電源線(純正のシフトポジション・インジケーターの電源線に割り込み)

 それではさっそく、行ってみましょ~っ!0xF9BD

Active Shifter

 シフトレバーおよびシフトブーツを取り外します↑。

#ガレージの中で撮影したので、写真がちょっと暗いです。(露出を失敗しました)

 シフトレバーは、適度な力で真上に引き上げれば、取り外せます。シフトブーツも、嵌合ではまっているだけですので、適度な力で持ち上げれば取り外せます。

 写真は「P」の位置になっていますが、「N」の位置で作業した方が、その後の作業が進めやすいかも知れません。(その場合は、サイドブレーキを忘れずに)

Active Shifter

 シフトパネルを取り外します↑。

 シフトパネルも、嵌合ではまっているだけですので、適度な力で持ち上げれば取り外せます。

 なお、ウッドパネルは傷が付きやすいため、マスキングテープでシフトパネル周辺を保護してから作業した方が良いかも知れません。
(特に、ブラックウッドは傷が目立ちやすいため)

Active Shifter

 赤紫色の4Pコネクタを、真上に引き上げ、取り外します↑。

(注) 某ショップなどでM5用パドルシフトを装着した場合、施工を楽するため、パドルシフトからの配線がトランスミッション側に接続されていることがあります。その場合は、ASは正常に動作しませんので、ボディー側に接続し直す必要があります。

Active Shifter

 ASの4Pコネクタ(オス・メス)を、それぞれ割り込ませます↑。

Active Shifter

 シフトパネルの裏側です↑。

 写真上○の赤紫色の3Pコネクタから、AS用の「電源」を取り出します。写真下○の白色の6Pコネクタから、「Dモード検出用の信号」を取り出します。6Pコネクタは、真横にずらして取り外します。

Active Shifter

 ASの「電源線」と、「Dモード検出用の信号線」を接続します↑。

 「電源線」(黄-緑)は、赤紫色の3Pコネクタの2番ピン(赤-橙)に割り込ませます。黒い布テープが巻かれているため、少しほどきます。

 「Dモード検出用の信号線」(黄)は、白色の6Pコネクタの1番ピン(黄)に割り込ませます。黄色いビニール被覆を被っているので、少しカッターで取り除きます。

 ASからの配線には、もともと分岐タップが付いていますが、写真では、車両側の配線の被覆を2mmほど取り除いてAS側の配線を直接ハンダ付けし、さらに電気絶縁テープで保護しています。
(確実に配線をコンダクトしたいため、いつもこの方法を採っています)

 これにて配線は完了です。

(注) 生産年月によって、コネクタの色、配線の色は、異なる可能性があります。接続にあたっては、WDS(電子配線図集)等にて十分に確認した上で、実施してください。

Active Shifter

 AS本体は、この位置に設置することにしました↑。

#ASのスピーカーが、ちょうどシフトブーツの下に来るので、この辺りで良いかなと。

 基板が剥き出しのため、絶縁処理が必要となりますが、基板裏面に両面テープを貼って固定し、これに代えました。

(注) 上記の設置位置は、あくまで一例です。基板や配線を剥き出しで設置すると、端子間がショートし、最悪、車両火災が発生する可能性があります。一般には、ASのハーネスを延長し、ブラボックスに入れたまま設置するようにしてください。

Active Shifter

 シフトパネルを元に戻します↑。

 この状態でシフトレバーを仮組みし、ASの配線がシフトゲートの可動部分に干渉していないかどうか、きちんと確認しておきます。

 また、走り出す前に、必ずつぎの動作を確認しておきます。

   (1) シフトを「D」または「DS」に入れた時に、「ピッ」という確認音。
   (2) シフトが「D」で、パドルシフトの左右どちらかを操作した時に、「ピッ」という確認音とともに、「D」と「DS」のインジゲーターが同時点灯。
   (3) 上記(2)の状態から20秒後に、「ピッピッ」という確認音とともに「D」に復帰。
   (4) 上記(2)の状態からパドルシフト左右同時操作で、「ピッピッ」という確認音とともに「D」に復帰。

 問題なければ、シフトブーツ、シフトレバーを元に戻します。

 これにて取り付けは完了です。割とあっさり付いてしまいました。慣れた方であれば、1時間もあれば付けられてしまうでしょう。

 それではさっそく、試乗に行ってみましょ~っ!0xF8BF0xF9AD

〔関連情報〕
   ・【需要調査】「アクティブ・シフター」のご希望数把握について
   ・【ご連絡】「アクティブ・シフター」のご希望受付方法について
   ・「Active Shifter」到着しましたっ!
   ・「Active Shifter」の取り付け(番外編)

 前回、マルチファンクショスイッチの未使用のスイッチを活用して、Dモードに一発復帰させるアイデアをご紹介しました。この機能、msano7さん、シュナウザーさんのアイデアを拝借し、「Thumb Shifter(E60版)」と呼ぶことにしました。

 さっそくですが、また分解です。0xF9BD

#最近、「不具合」による不稼働ではなく、「改造」による不稼働がやたら多くなってきました。まぁ、ガソリンも高騰してますし、ちょうど良いかなと。0xF9C7
(ちなみに、不具合による不稼働は、これまでほとんどありません)

Thumb Shifter

 M-Sportステアリングのマルチファンクションスイッチ部です↑。

Thumb Shifter

 裏側です↑。

Thumb Shifter

 左手側のユニットを分離したところです↑。ALPS製です。

 左右別ユニットになっているということは、例えばM5用のユニットを入手することができれば、「ボイスコントロール・スイッチ」ではなく、「Mスイッチ」にしたりすることもできそうです。

#押したら「P500モード」で一気に507馬力っ!、な~んてことにはなりませんが。0xF9F8

 スイッチは4つありますが、コネクタのピンは3つしかありません。やはり、論理多重されていそうです。

Thumb Shifter

 さらに分解↑。

Thumb Shifter

 スイッチ部の基板です↑。

 PCのキーボードとまったく同じ機構で、プニプニしているラバーに接点があり、スイッチを押すことによって基板側の接点が短絡し、ONとなります。

 基板上には、チップ抵抗やイルミネーション用のチップLEDが載っています。

 ノーマルのイルミネーションは、アンバー(オレンジ色)ですが、チップLEDを付け替えれば、ホワイトにすることもできそうです。
(ただし、アンバーLEDとホワイトLEDは、定格電圧が微妙に異なるので、チップ抵抗も同時に付け替える必要がありますが)

 さてと、どう料理しましょうか・・・。0xF9A0