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Research and Development Archive

 先ほど、面白いニュースが飛び込んできました。

 昨夜(30日)、公正取引委員会が、26日の新聞各紙の見開き全面広告の内容について、某社幹部に説明を求めた模様です。

 例の「¥0円」広告と、欄外のケシ粒のような条件記述について、消費者に対する適正な表示であるかどうか、疑義を持たれたということでしょう。

 公取まで入ってしまったので、ついでに申し上げますと、

 某社は、MNP開始から来年1月15日までの間を、「大創業キャンペーン」と位置付けて、「予想外割」の基本料金を通常9,600円から70%引きの2,880円にするとしていますが、
 この「特定の期間内に契約した特定の加入者だけ、料金を大幅に割り引く」というところが、現行法に抵触する危険性をはらんでいます。
(すでに競合各社が指摘していますが)

 総務省の所轄法令の「電気通信事業法」では、

第6条 (利用の公平)
   電気通信事業者は、電気通信役務の提供について、不当な差別的取扱いをしてはならない。

とされています。

 一方、某・損さんの会見では、来年1月15日以降の割引については、「その後も継続するかどうかは未定」と発言しています。

 ところが、1月15日以降に入ったヒトが、1月15日までに入ったヒトよりも、「不当な差別的取扱いを受けていない」ようにするためには、自爆覚悟で、その後も「大創業キャンペーン」割引をし続けなければなりません。

#そもそも、役務提供料金が許認可制度だった時代は、こんなアホなことするヤツは居なかったのですが。

 まぁ、同法の規定自体が、かなり玉虫色に書かれているので、どこまでが「不当な差別的取扱い」となるのか、何だかよく分かりませんが、某社のこれまでの数々の“前科”からすると、このまま強行突破しようとした場合、監督官庁からの「行政指導」(業務改善命令)が出るかも知れません。

#ちなみに、電気通信事業者に対して、一般企業の「懲戒解雇」に当たるのは、「事業免許取消し」となります。

 総務省に加え、公取、競合他社、そして自らの加入者さえ流出してしまい、まさに四面楚歌とはこのことかと。

 でもまぁ、そういういい加減な体質の事業者も参入できるよう、規制緩和施策を採ったのも、監督官庁さんなんで、最後まで見放さず、面倒見てやってください。

 こうなることは、ある意味、「予想内」でしたが。0xF9D1

ソフトバンクの携帯契約、また停止…総務省聴取へ
(2006年10月30日:読売新聞)

 携帯電話大手のソフトバンクモバイルは29日、NTTドコモ、KDDI(au)との契約変更の受け付けを2日連続で停止した。

 前日に契約業務を全面停止した後、29日午前にいったん再開したが、契約者が殺到し、正午すぎに契約変更の受け付けを再停止した。顧客情報システムの準備不足が原因と見られ、ドコモとKDDIはソフトバンクに文書で強く抗議した。

 総務省は事態を重視し、ソフトバンクモバイルに原因の究明を求めた。週明けにも状況を聞き、対応を検討する。

 契約者同士で通話やメールが原則無料となる新料金プランの割安感から、同社のシステム処理能力を超す多数の希望者が販売店に殺到したことが一因だが、ソフトバンクモバイルのシステム準備不足は否めない。

 NTTドコモとKDDIは29日、連名の文書で「(ソフトバンクの)システムの信頼性に疑念を抱いており、発生原因を明確化し、早期システムの回復と抜本的対策の実施を申し入れる」などと厳重抗議した。ソフトバンクモバイルは業務体制の抜本的な見直しを迫られそうだ。

 ベンチャー上がりの、分かってないヒトが作ると、こうなります。

#分かってるヒト達が作ってても、こうなりますが。0xF9C8

「システムの能力不足」孫社長が業務停止で陳謝
(2006年10月30日:読売新聞)

「良かれと思ってやったが・・・」ソフトバンク孫社長・会見詳報
(2006年10月30日:Nikkei IT+PLUS)

【速報】ソフトバンクがシステム障害を会見で謝罪,MNP受付殺到で処理能力上回る
(2006年10月30日:ITpro Network)

孫社長がお詫び、ソフトバンクのMNPシステム障害で
(2006年10月30日:Impress ケータイWatch)

 ソフトバンクモバイルは、携帯電話番号を変えずに携帯電話会社を変更できる、いわゆる携帯電話の番号ポータビリティ制(MNP)に関して、同社のシステムに起因する障害でMNPの受付が停止してしまった件で、記者会見を開催した。

 同社の代表執行役社長兼CEOの孫正義氏は冒頭、「番号ポータビリティの受付業務に関してお客様が殺到したために、受付業務のシステムが一時障害を起こし、大変多くのお客様にお待たせすることになった。その結果、我々だけでなくドコモ、auにもご迷惑をおかけたしたことをお詫びしたいと思います」とコメントし、軽く頭を下げた

疑問が残る孫氏の発言

 質疑応答では多数の質問が寄せられた。

 (中略)

 なお、孫氏は今回のシステム障害について、まるでソフトバンクの申し込みが殺到し、人気が出たためにトラブルになったと受け取れるような発言を繰り返していた。auやドコモでは、ソフトバンクから各社に転入するユーザーの方が多いとしており、内容が大きく食い違うことになる。この点を同氏は、同社は26日からサービスを開始したばかりであり、24日、25日は転入は少なかったためと語る。しかし、具体的にソフトバンクへの転入者数を明らかにすることはなく、「26日以降は我々の方が多いと私は感じている」とするに留まった。なお、結果は1カ月後ぐらいにはっきりするとしていた。

 このほか孫氏は、一部のショップで「システムダウンの原因がドコモやau側にある」と案内された件について、「我々の指示ではない」と改めて否定した。

(下線部は、筆者追記)

 システムの増強に数億円掛かる模様。連休期間の申込み受付停止に因る商機会の喪失と合わせて、かなりの損害が「予想」される。

 せっかく加入者を集めても、儲けが一気に吹っ飛んでしまうだろう。

 ただし、これは加入者が「集まったら」の話である。

 さらに追い打ちを掛けるように、加入者増減の票読み速報。

KDDI、一歩リード・番号継続制で8万増、ドコモは6万減
(2006年10月30日:Nikkei IT+PLUS)

 KDDI(au)は30日、今月24日に導入された携帯電話の番号継続制で、29日までの6日間の契約者数を発表した。それによると、NTTドコモ、ソフトバンクモバイルからの転入が約10万1200件だったのに対し、転出は約2万600件にとどまり、約8万件の純増で、序盤戦はKDDIが他の2社を一歩リードした。

 ドコモは同日約6万件の純減だったことを明らかにしている。ソフトバンクモバイルは非公表だが、計算上、約2万件の純減になる。

 「良かれと思ってやったが・・・」、MNP開始後、数日で2万件の純減とは、“深々と”、ではなく、“軽く”頭を下げた某・損さんの心中や如何に。

 もっとも、某V○dafone(その前は某J-PH○NE、またその前は・・・、コロコロ変わり過ぎてもはや分からず)の加入者は、ARPU(加入者1人あたりの月間売上高)が他社と比べて低いので、そういう加入者をチマチマ10人集めるよりは、高額利用者や大口の法人契約者5人をガッチリ囲い込んだ方が、遥かに収益率が高いのだ。

 そのためには、ネットワーク全体の高い信頼性に裏打ちされた、安心感の醸成が不可欠である。決して、客寄せパンダ的な「見せ掛け値引き」では得られない。

 一部のマスコミは、浅はかにも、短絡的に騒いでいるようだが、ここで数日の短期的な加入者の流動を揶揄しても、まったく意味が無い。

 そもそも、9月末時点の契約者数は、ドコモ:5,210万件、KDDI:2,640万件、ソフトバンク:1,530万件となっており、業界トップと第2位との差は、倍半分も違うのだ。

 さて、23日の報発の際に、「26日には、さらなるサプライズがある」と事前予告していたとおり、同日の新聞各紙の「見開き全面広告」をご覧になった方も多いことだろう。

言いたい放題のソフトバンクにもの申す──ドコモ中村社長
(2006年10月27日:ITmedia +D Mobile)

「孫社長は言いたい放題で、いい加減」NTTドコモ社長、会見で苦言
(2006年10月27日:Nikkei IT+PLUS)

 NTTドコモの中村維夫社長は27日都内で会見し、2006年9月中間期の連結決算を発表した。会見では、ソフトバンクモバイルの孫正義社長が26日に始めた新しい料金プランに質問が集中、中村社長はソフトバンクの新聞広告を手に掲げながら、「孫社長は23日に会見したときから言いたい放題言いっぱなしだが、あまりにいい加減で怒りを覚える」と苦言を呈した。

[経営戦略]NTTドコモ、「ソフトバンクに負ける料金プランは1つもない」と中村社長
(2006年10月27日:BCNランキング)

 中村社長は「¥0」と大々的に印刷されたソフトバンクモバイルの新聞広告を掲げ、「こういうやり方がフェアかどうか」と疑問を投げかけた。さらに、「広告には料金プランの注意書きは小さく印刷されている。これを見て加入したユーザーは、後で請求書を見てびっくりして『こんなはずじゃなかった』と必ず思わされる」と指摘した。

 見開き全面広告には、デカデカと「¥0」と「孫正義」の文字が。

 その割りに、かなり重要な限定条件が、欄外にケシ粒のような小さな文字でチマチマと書かれている。0xF9CA

 ADSLモデムのバラ撒き作戦をやっていた頃と、「ちっとも変わってないなぁ」という感も。

 料金体系は、シンプルになったどころか、端末代金の割賦負担と合わせ技となって、いっそう複雑怪奇化されている。しかも、「無料」とされている月額料金に含まれる定額分を超え、従量分に突入すると、他社と比べてとんでもなく高い単金設定。
(30秒あたり最大30.45円。他社の携帯と3分ちょっと話せば、たちまち210円の差額なんて吹っ飛んでしまう)

 あんな広告に引っ掛かるのは、某家電量販店の「50人に1人はタダ!」みたいな宣伝文句に嬉々として並んでしまうような、数値的把握能力のない可哀想なヒト達だけであろう。

 加入者側から見て、「タダより高いものはない」と言うことにならなければ良いが。

 もっとも、ここ数日のドタバタによる面子丸つぶれで、最も『こんなはずじゃなかった』と思っているのは、当のご本人かも知れない。

MNP商戦バトル、ソフトバンク騒動をおさらい・30日の記事から
(2006年10月31日:Nikkei IT+PLUS)

 いずれにせよ、前回、減価償却費の計上期間を、企業会計の常識からすれば「予想外」に先送りした某・損さん、今期の決算では、どのような荒ワザを使ってくるのか、非常に楽しみである。

#「予想外割」に先立ち、このほど某社が発表した「携帯電話事業の証券化」については、また別の機会に述べたい。

   ttp://www.softbank.co.jp/news/release/2006/061020_0001.html

 面白いサイトを見つけました。

 簡単にいうと、Wikipediaのニュース版みたいなイメージでしょうか。

mjn01.jpg

通信(出世の法則)
NTTドコモ 現場は危機感あるけれど
NTT東日本 変わらぬ電電時代の内向き体質

 けっこう当たってます。
(というか、明らかに内部の人間が書いてるなぁ。「最早」とか書いてあるし・・・)0xF9C7

 ということは、

ソニー 個人主義の行き詰まり like no other?(仕事/生活)
ソニー 高賃金の足かせ like no other?(対価)

 う~ん、どうなんでしょう。0xF9C7

 まぁ、いつの世も、問題は他に先駆けて気付いて言うくせに、当のご本人は何にもしないという傍観者クンは、たくさんいますからねぇ。
(「権利は主張するくせに、義務は果たさない」、みたいな)0xF9D1

 それはさておき、

ケータイ安全性評価、たった一匹だけで判断 総務省にデータ偽造の疑い

などは、なかなかに面白いと思います。

 まぁ、いずれの情報も、真偽のほどはどうであれ、受け手側にも、それを正確に見分けられる目が必要ですね。0xF9C5

 先日の投稿の続きです。

福井総裁の村上ファンド投資、オリックスが窓口に
(2006年6月22日:Yomiuri Online)

 日本銀行の福井俊彦総裁が村上ファンドに1000万円を拠出していた問題で、福井総裁の拠出金が、オリックスの管理する投資事業組合を経由して村上ファンドに入っていたことが、22日、明らかになった。

 同日の衆院財務金融委員会の質疑で、複数の委員が示した。

 投資家の取りまとめ役を務めることで、オリックスは村上ファンドの一部の資金について、資金の拠出元を把握していたことになる。野党側は全容解明のため、オリックスの宮内義彦会長の参考人招致を要請した。

 福井総裁は2001年に村上ファンド内で拠出先を移し替え、オリックスが「業務執行組合員」を務める「アクティビスト投資事業組合」と契約し直した。業務執行組合員はファンドの出資者をまとめる「班長」のような存在で、投資家の募集や運用報告書の発送などを行って一定の手数料を得る。投資銘柄の選定にはかかわっていないという。

 福井総裁は同委員会で宮内氏との関係について「個人的には非常に親しい関係にあるが、村上ファンドについて話をした経験は一度もない」と説明した。

 先日は、「仕手師ファンド」と「規制改革・民間開放推進会議議長」との怪しい関係について述べましたが、「日銀総裁」と「仕手師ファンド」とも、「規制改革・民間開放推進会議議長」を通じて、仲良し子良しのオトモダチ同士だったとは。

 いやはや、そういうことでしたか。お見逸れいたしました。0xF9D1

 国民に「ゼロ金利」を強いて、“預金しても手数料取られるだけムダ”みたいな金融政策を進めておきながら、一方で、ご自身は某・高利貸し「ア○ム」の年利ばりに、ガッツリ儲けてらっしゃった「日銀総裁」も、如何なものかと思いますが、

 「消費者が主権を持ち、売り手が懸命に努力する社会」(インタビュー記事より)を望まれ、規制撤廃を声高々に謳われていた「規制改革・民間開放推進会議議長」も、けっきょくは“同じ穴のムジナ”だったようで。
(売り手は、たしかに懸命に努力してました~、「裏で」)

 議長さん、各種法規制の撤廃のみならず、セルフ・コンプライアンスというか、自己倫理という規制も撤廃されてしまったようです。
(我ながら上手いなと)0xF9D1

〔関連情報〕
   ・NTT法廃止に踏み込んだ竹中懇談会の成果を問う
   (NikkeiBP ITpro Network)
   ・NTTとソフトバンクが竹中懇に声明を発表,NTTの反発姿勢は明確
   (2006年6月7日:NikkeiBP ITpro Network)
   ・「NTT法の見直しは2010年以降でいい」,片山委員長を直撃
   (2006年6月22日:NikkeiBP ITpro Network)
   ・【特報】「NTTの組織問題は『2010年時点』で検討」,政府与党が合意
   (2006年6月22日:NikkeiBP ITpro Network)

#平ゾーと虎サンのパワーゲームは、虎さんの押し切り勝ちに終わったようです。
(まっ、いずれにしても、2010年なんていう“寝ぼけた時分”には、時代の趨勢は決まっちゃってる訳ですが)0xF9D1

 先日の投稿の続きです。

#さいきん、タイトルとはだいぶ離れて、かなりポリティカルな薫りが。0xF9C7

 まずは、とあるご高名なお二方のご発言から。

〔A氏のご発言〕

  ・どうも、競争とか再編とかいうと、とても怖くて、痛みが伴うような感じがある。弱肉強食になって、外から叩かれるイメージが独り歩きしている。しかし、それは違う。日本はこれまで、競争によって強くなってきた。なにも特別なことはない。

  ・残念なことに、いまの世の中には、不公正な競争がある。なにかちょっと政治家に頼んで、発注をしてもらったり、利権を活用して不当利益を得たりする。これでは困る。

  ・いま、正直な人間が報われていない。利権に守られ、本来なら民間でできることを、お役所仕事でぬくぬくやっている部分がある。

  ・5年後、10年後、正直者が報われる社会にしたい。自助自立の経済をつくりたい。自分のことは自分でやろう。自分で自分を支える社会になろう。本当は援助の必要はないのに、弱者を装ってきただけの人間が多かった。そういう人たちには、やはりきちんと頑張ってもらわねばならない。みんな、頑張っているんだから。

  ・変化することには、常に抵抗や反発がある。だが、そこを乗り越える過程には、喜びや感激がある。変化を積み重ねることで、社会は豊かになり、便利になるのです。

〔B氏のご発言〕

  ・いま日本は、「変わらないために競争しない」という、極めて不自然な社会になっている。徹底的に、堰を崩さなければならない。規制緩和も、その作業の一つだ。

  ・消費者が主権を持ち、売り手が懸命に努力する社会。それが実現しなければ、日本は衰退する。ただ、それだけのことです。

  ・いまこそ、考えてほしい。国の衰退は、容易に起こるということを。アルゼンチンは、第二次大戦後は南米屈指の豊かな国だった。ところがいま、存亡の危機にある。

(下線部は、筆者追記)

 一読すると、実にシュアーなことを仰っているようにみえます。

 お二方のご発言を総合すると、「いまの世の中は、不公平な競争がある。だから、(何が何でも)徹底的に規制を撤廃しなければならない。そうすれば、正直者が報われる、豊かで便利な国になる」となるでしょうか。

#ただし、それは、ある条件下でのみ達成しうるもので、仮に達成できたとしても、その結果は、およそ「豊かで便利な国」とは掛け離れた、殺伐としたものとなるのです。(後述)

 ここでいう、A氏とは、総務大臣・郵政民営化担当の竹中平蔵氏(当時、首相諮問機関「IT戦略本部」メンバー)のご発言で、
 B氏とは、オリックス取締役兼代表執行役会長・グループCEOの宮内義彦氏(当時、首相諮問機関「IT戦略本部」メンバー、「IT関連規制改革専門調査会」座長、現「規制改革・民間開放推進会議」議長)のご発言です。

(いずれも、「アエラ臨時増刊『大再編に負けない-こうなる、こう変わるあなたの業界』(2002年3月20日号)より抜粋)

 さて、このお二人のご発言から4年以上が経過した現在、「正直者が報われる社会」になりつつあるといえるでしょうか?

 先ごろ、「モノ言う株主」というよりは、「金にモノを言わせる仕手師」みたいな方が、1時間20分間も一方的にペラペラ喋りまくった挙げ句、あえなく御用になりましたが、世の中の状況としては、4年前より悪化しているように思えます。
(あの会見は、近年まれに見る、一大エンターテイメントでした)0xF9D1

#ちなみに、「M&Aコンサルティング」設立当時の運用資金の大半を出資し、その後のファンド拡大の後ろ盾となったのは、現「規制改革・民間開放推進会議」議長とされています。
(仕手師が捕まっちゃったら、無情にも知らんぷりみたいですけど。まぁ、カネの繋がりなんて、そんなもんです)

#さらに、驚くべきことに、「ソフトバンク」の事業報告書には、社外取締役として、現「規制改革・民間開放推進会議」議長のお名前が。
(「通信・放送の融合」で、各キャリアがガップリ四つの激論を交わしている時に、コンペティターの取締役に、本来、公平中立であるべきのはずの議長殿が納まっていたとは)

#さらに^2、前述の事業報告書には、やはり社外取締役として、日本マクドナルド会長兼最高経営責任者(当時、代表取締役社長)のお名前が。この会長が、日本マクドナルドの公開前に、自社株1,500株を手渡していたのが、何を隠そう、現「総務大臣・郵政民営化担当」なのです。
(同大臣(当時は入閣前の私人。ただし、政府の主要政策会議のメンバーに選任中)は、この店頭公開による株価上昇により、巨額の利益を得ていたとされています。これに対する、木で鼻を括ったような「国会答弁書」)
(なお、質問している政党と、私のポリティカリティーとは、何ら関連がありません。単なる情報ソースです)

(いや~、いつか書こうと思ってたんです。皆さん、仲良し子良しのオトモダチ同士だったのですね~)0xF9D1

(というか、国民に苦痛を強いておきながら、ご自身は“濡れ手deアワ~”だなんて。たしかに、「正直な人間が報われていない」世の中ですね。みょ~に納得)0xF9D1^2

 ところで、その議長殿が引き合いに出された「アルゼンチン」ですが、どのような理由で「存亡の危機」に陥ってしまったのでしょうか。ここで、以前に少しお話しした、“シカゴ・ボーイズ”たちのご登場となる訳です。

 “シカゴ・ボーイズ”とは、シカゴ大学経営学部のミルトン・フリードマン教授のゼミで学び、世の中に輩出された卒業生たちのことを指します。その多くは、アメリカ政府のみならず、世界銀行、IMF(国際通貨基金)など、世界レベルでの金融・財政政策を策定していく重要ポストに就いています。

 その教義は、経済学部の方からは怒られてしまいそうですが、いくつかの情報ソースから、工学部のアタマで情報圧縮すると、

  ・もし経済活動がうまく行っていないのであれば、それはどこかに規制が入っていて、公平な競争を阻害しているからである。
  ・規制を取り払い、自由競争を推し進めれば、必ず市場は(アダム・スミスのいう“神の見えざる手”によって)健全なる成長を果たすことができる。

というものです。
(ちょっと圧縮しすぎか)0xF9C7

 いずれにしても、まるでどこかで聞いたようなフレーズです。

 ミルトン・フリードマン教授は、フリードリヒ・アウグスト・フォン・ハイエク教授らと共に、ケインズの経済理論を批判し、市場経済を擁護、推奨しました。(後に、お二方とも、ノーベル経済学賞を受賞)
 その理論は、「新古典派経済学」などと言われ、アメリカや、アメリカかぶれのエコノミストどもにもてはやされています。

 一言で言えば、「自由放任主義」です。

 その教義を骨の髄まで叩き込まれた“シカゴ・ボーイズ”たちが、巨額の債務にあえぐアルゼンチンに対して何をしでかしたかというと、自由化・グローバル化という名の下での「徹底的な規制撤廃」です。

 ここら辺の事情は、グレッグ・パラスト著の「金で買えるアメリカ民主主義(アメリカ改訂版)」の第四章、「レクサスを売れ、オリーブの木を燃やせ!」にて、詳しく述べられています。
(かなりの活字量なので、読むのに少し難儀しますが)

#奇しくも、このグレッグ・パラスト氏は、ミルトン・フリードマン教授のゼミの出身者(すなわち、“シカゴ・ボーイズ”の一人!)ですが、世界銀行やIMFのおぞましい暗部を目の当たりにし、新古典派経済学者として金融・財政政策を策定していく道に背を向けて、調査報道記者に転身した数奇な方です。

#ちなみに、「レクサスを売れ、オリーブの木を燃やせ!」とは、もちろん、「レクサスとオリーブの木」(トーマス・フリードマン著)のアイロニーです。

(以下、まだ編集中)

 このまま、思考停止状態の“学者さん大臣”に率いられたままだと、“濡れ手deアワ~”の件が如実に表すように、「正直者が報われる社会」どころか、ますます「正直者がバカを見る社会」になっていきそうです。0xF9CA