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Research and Development Archive

 恒例となりました、先日の投稿の続きです。

 たびたび引用させていただいている、この方のblogですが、

「あーそうですか」の竹中NHK改革
(2006年5月9日:ITmedia +D)

 竹中大臣の私的懇談会では、色々とかき回した挙句、テレビとラジオを1チャンネルずつ削減することとし、受信料の値下げを実現するという。

 ガバナンスの話だったんじゃなかったでしたっけ?チャンネルが多いとか少ないとかって、議論のスタート点で問題になっていましたっけ?そもそも受信料の値下げが国民の希望なんでしたっけ?

 国営放送と公共放送の違いすら分からずに議論を始めておいて、何かしらの結果を残さないといけないという拙速に拙速を重ねて、珍妙な改革案が出来上がったということだろう。

 こんな案は、サッサと過去の笑い話とし、次期政権には引き継がれないことを祈るばかりだ。「受信料さえ下げれば払うんだろう」としか考えていなかったことが、よくよく分かった結論であった。国民をバカにしている話だ。バカ者にバカにされると腹が立つ。

 さて、肝心の、議論の中身ですが、

総務相懇談会,「NTTはアクセス網の分離を強化,NHKは経営体制の抜本改革を」
(2006年5月9日:NikkeiBP ITpro Network)

「NTTは最低でもアクセス部門の機能分離が必要」,“竹中懇”で合意
(2006年5月9日:NikkeiBP ITpro Network)

 前述のblogの筆者さんからすれば、「“バ○ががん首揃えて”の図」になると思いますが、

 いくら「学者さん大臣」から嘱託された「タレント学者さん」だとはいえ、限られた期間にてきとーなアウトプットを出さないとかっこーが付かないとはいえ、

 いくらなんでもねぇ。

#まぁ、「日曜コメンテーター」の考え付く結論(?)ってのは、こんなもんなんでしょうね。0xF9D1

 これまでにも、「破壊論者たち」にさんざん使い古された「分離・分割」というキーワードを、いまさら「バ○のひとつ覚え」のように繰り返したところで、そんな“近視眼的で浅はかな”お考えでは、光アクセス網は一向に逓減できないと思いますが。

 もっと「経済学者さん」なりの、我々をウ~ンと唸らせるような、革新的な具体案は考え付かなかった(思い付かなかった)のでしょうか。

#と、その前に、某・損さんが提案した「光サービスは月額690円で提供できるっ!」について、本当に、本当に実現可能とお考えなのかどうか、「経済学者さん」としての見解を伺いたかったのですが。0xF9D1

 ワタクシも同様に、こんなチープな「総括」は、次期政権には引き継がれず、さっさとゴミ箱行きになることを祈ります。

〔関連情報〕
   ・「通信・放送の在り方に関する懇談会
   (総務省 情報通信政策局 総合政策課)
   ・「通信・放送の在り方に関する懇談会終了後の記者会見の概要
   (総務省)

 先日の投稿の続きです。

 たびたび引用させていただいている、この方のblogですが、

「神の見えざる手」では。。。
(2006年4月17日:ITmedia +D)

 市場原理しか勉強していない経済学者たちが、放送やら通信の世界に口を挟んできて、何となく、こちらも慣れてしまったような感があり要反省なのだが、通信の世界にしたって、競争が激しくなったからって、別にサービスは向上しているわけでもないと感じる。

 最初の二ヶ月は無料だとか、その手のお金の話ばかり盛んだが、何か用があって、カスタマーセンターなどに電話をかけると、ちっとも問題が解決しないことを改めて感じる。競争、競争と言うが、価格以外のところでも、やっていただけないものかと思う。

 価格だけの競争になれば、一方でコストをセーブしなければいけなくなる。客の苦情なんかを丁寧に聞いていたって儲からないことも分からないでもない。だから、人間と話をするに至るまでに、結構な時間がかかってしまったりする。だけど、こういう状況って、果たしてサービスが向上したっていうのだろうか。

 価格競争だけでは勝てなくなる日が来る。一方で高齢化社会だって言っているわけだし。まあ、前から言っていることの繰り返しですけどね。

 いっそう辛口に磨きが掛かってますねぇ。さらにこれとか。(しかし、まぁ、よくもこれだけタイミング良く不祥事が発覚しますね)0xF9C7

 その他のところでは、

NTTを俎上に乗せた竹中懇の落としどころ
(2006年4月14日:Nikkei ITpro)

 NTTが今,大きく揺れている。その震源地は竹中平蔵総務大臣直轄の私的懇談会「通信と放送の在り方に関する懇談会」(以下,「竹中懇」)。NHKに加え,NTTのあり方に大きくメスを入れるものとなっているからだ。

 NTTのあり方に対する議論が本格化したのは第4回会合から。竹中懇の座長を務める松原聡東洋大学教授が,会合後の会見で「NTTの組織の抜本的な見直しが必要だ」と発言。(関連記事)。NTT東西地域会社のアクセス部門の分離問題やNTT持ち株会社配下の研究所についても言及し,NTT法の改正も辞さない姿勢を打ち出したのだ。

 実はそれに先立つ2005年11月,NTTグループはNTT法を改正しないまま「グループ内の役割の整理」を進める方針を宣言した(関連記事)。かつてNTTグループは97年のNTT法改正とそれに伴う99年のNTTグループ再編劇で,多大な時間と労力を費やした。その過程にかかわった現経営陣は,法改正を回避しながら光ファイバの推進と次世代ネット構築に向けた体制を固めようとしたのだ。

 しかし竹中懇のスタートでその思惑は大きく軌道修正を迫られる。3月には和田紀夫社長が自ら公開ヒアリングに立ち,KDDIの小野寺正社長兼会長やソフトバンクの孫正義社長と激論を交わす羽目に陥った(関連記事)。和田社長としても昨年11月に封じ込めたはずのNTT法改正が,まさか半年もしないうちに再燃するとは思っていなかったはずだ。

 逆の視点から見ると,NTTの組織がこれほどの荒波にさらされるのは久しぶりともいえる。例えば99年の再編時にはNTT持ち株会社に属する格好で落ち着いたNTTグループ内の研究所。松原座長の「研究開発は外部に出すべきだ」との発言を受け,職員の間に動揺が広がったという。

 ただ気になるのは竹中懇の会合ごとに,議論の進展に大きな幅があること。例えばNTTの組織のあり方に対する松原座長の発言は,第4回会合は「抜本的な見直しが必要という意見で構成員が一致した」だったが,第5回会合は「構成員で新たに一致した合意事項はなかった」となる(関連記事)。その事情はいくつか聞こえてきているが,振れ幅の大きさゆえに最終的な落としどころを推測することが難しい。目標とする6月の取りまとめまでに,十分な検討が可能なのかという懸念も浮上している。

 次回の4月20日の第10回会合では,放送分野を総括した第9回会合を受け(関連記事),通信分野を総括する予定である。少なくともここが落としどころの方向を見極めるポイントになることは確か。その内容は見逃せない。

 ということで、明日4月20日、いよいよ決戦の日を迎えることとなりました。

 ちなみに、今回も、会合の模様はネットで配信、、、と思っていたら、過去のも含めてリンク切れになっていました。やはり、子供にも見せられない低レベルな議論を、いつまでも国民の目に晒しておく訳にはいかなかったか・・・。0xF9D1

 さぁて、これまでの数々の議論を、「タレント学者」さんがどのように総括してくれるか、見ものですな。

 ところで、これだけ毎週のように大きな会合があって、総括もしなきゃいけないとなると、先生本来の「ご研究」は、進んでいらっしゃるのでしょうか。
(余計なお世話だってか)0xF9D1

〔関連情報〕
   ・「通信・放送の在り方に関する懇談会
   (総務省 情報通信政策局 総合政策課)

 先日の投稿の続きです。

NHK技研の志の高さ
(2006年3月31日:ITmedia +D)

 昨日、NHKの技研にお邪魔して、最新の研究成果を色々と見せて頂いた。率直な感想として、我々の生活の身近なところにあるテレビを、少しでも見やすくするのと同時に、高齢者にも優しいサービスの数々を生み出しているだけでなく、そのレベルをさらに向上させていくための研鑽も詰まれており、非常に高い志をもって日々取り組まれていることを実感した。

 良質な番組を制作するのに役立つ技術開発も着々と進行している。まさに公共放送としての使命を果たすために日々努力を積み重ねている様子が伝わってきた。竹中大臣や松原さんが仕切っている懇談会では、技研を切り離すようなことも検討しているようだが、それこそ何の意味も持たない、形だけの「改革の成果」を追い求めているに過ぎないことは明らかだ。

 懇談会の方々も技研の方にお願いして、どういう技術開発を行っているのかくらいは見ておくべきだろう。技術開発部隊は現場に密着していないと、より良い成果を生み出すことが難しくなる。松原さんは記者会見の席で、そうした疑問が投げかけられたのに対して、「それなら大学の研究開発はどうなのだ?」と反論したことが報道された。基礎研究と応用研究の違いをご存知ないだけだろう。

 実際のサービスに直結させるための研究開発は現場に密着していないと、研究のための研究になってしまう。もっとも松原さんご自身が、大学における研究開発の動向にどの程度通じているのかは甚だ疑問だが。事業者ヒアリングと言いながら、自ら足を運ぼうともせずに、警察の事情聴取のように事業者を呼びつけているようなことはやめて、最新技術の動向を見せてもらうために足を運んでみるべきだろう。フィールドワークを怠けて、机上で空理空論を述べているから、地に足のついていない改革案しか出てこないのではないか。

 仕事柄、これまでにたくさんの大学を回り、多くの先生方にお会いし、様々なご意見をお伺いしたことがあります。中には、私のような青二才が普通にはお会いすることができないような、高名な先生方や、重鎮と呼ばれる先生方、総長・塾長もいらっしゃいました。

 大学の先生方には、大きく分けて、2つのタイプの方がいらっしゃいます。

 ・ ・ ・ 。

 え~と、書く内容について、いろいろ考えていたのですが、アホらしくなったので止めておきます。賢明な方には、私がなにを言わんとしていたか、ご推察いただけるものと思います。0xF9C5

 とかいっているうちに、同じ方が、このような記事を。

タレント学者の罪
(2006年4月1日:ITmedia +D)

 学者としての評価は勿論、常日頃からの研究成果によってなされるべきである。しかし昨今では、テレビのトーク番組にレギュラー出演し、顔と名前を売ることに精進する勘違い学者が多々見られる傾向にある。エコノミストなどと名乗る輩にもそういう人が多い。

 研究らしき研究もせず、そのため何ら研究成果も残してもおらず、政治的活動に注力したがるような人を学者と呼ぶと、本物の学者たちから怒られそうである。タレントエコノミストたちは大学の先生になりたがる。タレント学者は政治活動に注力したがる。そういう人たちにとって、テレビ出演は何よりのビッグチャンスなようだ。

 テレビが育てたタレント学者がテレビ改革に乗り出す始末だ。テレビ局にとっては自業自得だが、改革に乗り出してからも出演を続け、ギャラを受け取るというスタンスはいかがなものか。モラルが欠如しているのにもほどがある。

 テレビ局もテレビ局で「そんなに文句があるなら、ウチの番組に出演し、センセイを論破して下さい」などと言ってくる。相手の土俵で喧嘩をしたって勝てっこない。公平・公正な場でなら議論をしてもいいかなと思うが、ベースとなる知識を持ち合わせていない人との議論は、話がまるで噛み合わず虚しい結果に終わることが多い。何度も経験してきたことだ。

 マスコミも政治も、そして大学側も、もう少し真剣に自らのスタンスが、国民からどう見えているのかを反省した方が良いのではないか。物言わぬ国民が本当に怒りを顕わにしてからでは遅いのだ。

 御意に御座います。まさに仰るとおりです。

#現役の、「タレント大臣」(勘違い学者大臣)もいらっしゃいますね。0xF9D1

> ベースとなる知識を持ち合わせていない人との議論は、話がまるで噛み合わず虚しい結果に終わることが多い。

 おやおや、この方も、かなりの辛口のようで・・・。0xF9C7

 「基礎研究」と「応用研究」との違いすらご存知ないような薄識な、もとい、博識なお方に、将来の国家の盛衰を決するような研究開発の在り方を、ご議論いただいていてよろしいのでしょうか。

 先日投稿した、通信と放送の融合に関する議論の続きです。

【詳報】NTTのアクセス部門分離を巡り議論紛糾,竹中懇の公開ヒアリング
(2006年3月22日:Nikkei ITpro)

 竹中平蔵総務大臣が主催する「通信・放送の在り方に関する懇談会」が3月22日,第7回会合を開催。NTTの和田紀夫社長,KDDIの小野寺正社長兼会長,ソフトバンクの孫正義社長といった大手通信事業者トップがそろい踏み,公開ヒアリングに挑んだ。会合は2時間半の予定時間を約30分もオーバーし,熱い議論が続いた。最も盛り上がったのは,NTT東西地域会社のアクセス部門の分離問題についてである。

(中略)

 通信事業者3社へのヒアリングが一通り終了すると,「KDDIとソフトバンクの主張は明確で,NTTのボトルネック性とドミナンス性をどう考えるかという点に論点は絞られてきている。NTTは反論ありますか」という,懇談会座長である松原聡東洋大学教授によるNTTへの問いかけを皮切りに,NTTのアクセス部門分離の是非に焦点が当たった議論が始まった。

(中略)

 途中,「(電話設備について)『国民のもの』という言い方はやめていただきたい。今は株主のものです」と和田社長が孫社長の主張に声を荒げて反論し,「政府保証債で引いたものを『国民のものと言うな』というような会社に,将来のインフラを任せてもいいのだろうか」と孫社長が切り返すなど,強烈な応酬が続いた。このやり取りに際し,松原座長は「株式会社といっても,NTTは政府設立の株式会社ですからね」と株主の存在を主張するNTTをやや突き放すようなコメントを放つなど,議論はKDDIとソフトバンクにNTTが押され気味となった印象を残した。

 この議論の模様は、前回ご紹介したとおり、ネットで配信されています。このやり取りに対する、ある方のご意見。

子供に見せられない議論の仕方
(2006年3月24日:ITmedia +D)

 竹中大臣の私的懇談会による事業者へのヒアリングが映像で公開されている。個人的には、あれを見てヒアリングとは言わないだろうという印象だ。そもそもヒアリングというのは、聞きたいことがある人が相手方に出向いて、話を聞かせてもらうというのが正しいスタイルであろう。

 筆者の経験から「ちょっと聞きたいことがあるので、こちらに来て下さい」という警察の事情聴取のようなヒアリングスタイルを当然のように行っているのは、国会のような場を別とすれば、霞ヶ関の役人だけである。こればかりは昔から少しも変わらない。座長の松原さんを中心に当然のように関係者を集めて、それも普通ならなかなか会えないような顔ぶれを集めて、ヒアリングを行っている。そうそうたる方々がどうして集まってくるのかを理解されているのだろうか。

 それから、相手の話を最後まで聞かずに、平気で途中で遮る。座長と司会進行は違うのではないか?ああしたスタイルは土日の朝のトーク番組などでよく見られる。政治家、学者、有識者と呼称はどうでも良いのだが、相手の言い分を聞かず、ひたすら自己主張を続ける。あれをディスカッションとは言わない。小学生の学級会ですら、もう少しまともな秩序とマナーがある。

 ああいう場で活躍されている人が場を仕切るとああなるのかと思う。本来なら、その道のプロが非常に丁寧に説明してくれているのだから、素人は素人らしく真摯に耳を傾けた方が、ご本人にも勉強になるのではないかと思う。それは自己責任なのだから、大きなお世話なのだろう。

 テレビのトーク番組の罪も重いと感じてならない。あんなものをディスカッションのスタイルであるとなど、とても子供に見せられないほどの無秩序ぶりだ。ディスカッションでなくディベートだとのたまう方もいる。それなら誰かと二人きりでやって頂きたい。証人喚問のような映像を見るにつけ、そういう心積もりなら、裁判官のような仕切り方をされるべきではないかと思う。真っ先に自分から質疑を展開する裁判官はいない。

 やはり、同じように感じられた方は他にもいらっしゃるようで・・・。

 まぁ、セレモニーとしては重要な「御前会議」を、サ○デープロ○ェクトの「コメンテーター」が仕切ってるのですから、こんなもんでしょうか。そもそも、もと「学者さん大臣」が私的に招聘されたメンツなので、座長も含め、「それなりの」方々がセレクションされているのでしょう。0xF9D1

 そういえば、もと「学者さん大臣」も、今回の座長も、経済学の「大家」であらせられますね。「月額690円」で本当に光サービスが提供できるとお思いなのかどうか、ご意見を伺いたいところです。

 「テレビのトーク番組」ばりの、レベルの低い議論をされたまま(あれを議論と呼べるかという議論もありますが)、そのままなし崩し的に良からぬ方向に進まないことを望みます。

 先日投稿した、通信と放送の融合に関する議論の続きです。

 竹中平蔵総務大臣・郵政民営化担当の私的諮問機関である「通信・放送の在り方に関する懇談会」の第7回会合が、3月22日に霞ヶ関で開催されました。

   ・開催案内(出席者一覧)
   ・配付資料

 今回も、会合の模様がネット配信されています。

NTT和田氏の「電話網は国民の物ではない」発言にソフトバンク孫氏が反論
(2006年3月23日:INTERNET Watch)

●光ファイバは「競争したがりのソフトバンクでも戦えない状況」

 孫氏も「競争したがりのソフトバンクが、これほど意欲を持っていながらも光ファイバでは戦えない状況にある」とコメント。「光ファイバは民間が運営するユニバーサル回線会社として独立すべき」との考えを示し、5,000円程度で光ファイバ回線を開放しているNTTに対して「我々の計算では、ユニバーサル回線会社で光回線を整備すれば、1回線につき月額690円で実現できる」との考えを披露した。

●「電話網は国民のものではない」との発言にソフトバンク孫氏が反論

 孫氏は「NTTが日本中の家庭に光ファイバを提供できるならばそれは1つの選択肢だろう」とした上で、「独走態勢にありながらも2010年で3,000万回線しか敷設せず、収益性のある場所にしか引かない。できれば競争相手にも貸したくないというNTTには任せられない」とコメント。「3,000万回線だけ敷設すれば、残りの3,000万回線とのデジタルデバイドはますます進むだろう。そうした対策を何の答えもなく、2010年までに何とかすると放置するような企業に国民の重要な基盤を任せていいものか」と追求し、「国民のためにも6,000万回線の光ファイバ化を実現すべき」と主張した。

 NTTグループが資本分離することでユーザーにデメリットが生じるのではないかとの質問には、小野寺氏が「短期的にはでデメリットもあるだろうが、長期的に見れば事業者間競争によって国民にもメリットがある」と回答。孫氏は「短期でも長期でもユーザーにメリットはある。競争はより安くいい性能のものを提供するものであり、競争が困るというのはNTTだけ」と付け加えた。

 まぁ、「なんでも反対っ!」という姿勢も良いのですが、それではどこぞの野党と同じレベルかと思われます。論旨を拝聴しても、「国民のために~」「国民のメリットは~」などという、安っぽいヒロイックな言葉を並べていますが、その論旨にはなんの具体性もないことが分かります。

(本当に「国民のこと」を思ってのご発言なのか、はたまた「自分の会社のことだけ」を考えてのご発言なのかは、うかがい知れませんが)

 唯一の具体的な提示が、「光回線は月額690円で提供できる」ですが、6兆円もの巨額の設備投資をして、6,000万もの光回線を、わずか5年間という短い期間で、全国津々浦々まで張り巡らせるという、まさに夢のような「壮大な」計画です。

 原資となる6兆円は、「電話加入者」より政府保証債により調達するそうですが、その実現性如何はさておき(後述)、6,000万もの膨大な光回線を保守する事業運営費が、年間わずか818億円でできると言い切ってしまうところが、いかにも自ら額に汗してインフラを整備したことのない会社の考えそうなことです。0xF9D1

 まず、6,000万回線という数値ですが、電話局から加入者宅までの平均線路長を2.0kmとすると、総延長1億2,000万芯km。芯線分岐等による分割損を仮に6割と仮定すると、総延長は2億芯kmにも及びます。地球と太陽との距離が約1億5,000万kmですから、6,000万回線分もの光ファイバ網が、いかに膨大な設備量であるか、イメージしていただけると思います。

 つぎに、事業運営費818億円という数値ですが、これは一見とても大きな額のように見えますが、総延長283.3kmを有する首都高速道路株式会社の平成17年度総管理費(総建設費ではない)の削減目標が、838億円とされていますから、2億芯kmで818億円という額が、いかに意味のないいい加減な数値であるかということがお分かりいただけるかと思います。

(もっとも、首都高の場合は、間接費の一部が天下り役人の退職金に充てられているかも知れないので、実際にはもう少し少ない額だと思いますが)

 光ファイバ網と高速道路とを比較するのはいささか強引ですが、クルマ好きの方にはイメージしていただきやすいかと思います。要は、これまで「上っツラ」だけのサービスしかやったことのないような会社に、膨大なインフラの「お守り」(おもり)が、あたかも簡単にできてしまうなどと、軽々しく言っていただきたくない、ということです。

 話を元に戻します。

 今回、某・損さんは、「電話網は国民のものではない」という発言に噛みつかれた訳ですが(=「電話網は国民のものである」との認識)、その主張は、民間出資の「ユニバーサル回線会社」を創設し、その会社にて既存のメタル電話網をすべて光ファイバ網に張り替える、という「壮大な」計画です。

 その原資は、これまで電話加入者が積み立てた加入者債権(施設設置負担金、いわゆる電話加入権)を供出させ、総額6兆円もの巨額の資金を調達しようというものです。

 ここに、論理のすり替えがあります。

 電話加入者が光ファイバによるサービスを利用するか否かに関わらず、また電話加入者の意志に関わらず、

 なぜなら、某・損さんの論理では、「電話網は国民のものである」ので、国民の積み立てた資産を使って電話網を光化するのは、「当たり前」なのです。噛みついたのは、そのための「導線」だった訳です。

 さすがに、ファイナンシャル・マジックのお上手な、某・損さんのことだけはあります。

 それは、今般の「Vodafone巨額買収劇」の狡猾さをみれば、よく分かります。1.7GHz帯を、やんややんやで強引に獲得し、あれだけ自前設備によるサービス展開に固執していた割には、その基本方針をあっさり転換し、1兆7,500億円ともいわれる巨額の資金をマジック(というよりはトリック)のように用意してしまいました。

 もっとも、今回の買収はLBO(レバレッジド・バイ・アウト)によるもので、ソフトバンク本体が実際に調達する手元資金は2,000億円ほどでしかありません。一方、自前で基地局設備を全国展開すれば、少なく見積もっても4,000~5,000億円もの投資と2~3年の期間が必要となります。
(これは、相手のフンドシを借りられることを前提にした買収です。失敗すれば、フリチンで相撲を取らなければなりません)

 うがった見方をすれば、「砂漠に都市を作る」というヒトには、誰もお金を貸してくれなかったけれども、「すでにある都市を増改築する」といったら、お金を貸してくれた、ということになるでしょうか。
(それだけ、金融市場からは、もはや信用されていないということです)

 やはり、光化も携帯事業も、おんぶにだっこ。決して、決して自ら額に汗して設備を作ろうとはしないようです。0xF9D1

 ということで、脱線したまま、つぎの号へ。