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CIMAマルチプロジェクター
キセノンヘッドランプの移植
(2/2)
'02/05/10初版,'03/12/21更新

[マルチプロジェクターヘッドランプの組込]

 純正のディスチャージヘッドランプユニットに、マルチプロジェクターヘッドランプを組み込みます。

[写真19]
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  • 出来上がったバックプレートおよびステーです。(写真19)
  • 3D CADによるレーザー加工のため、寸分の狂いもありません。
  • バックプレートには、例によってカーボン調のカッティングシートを貼ってみました。
 
[写真20]
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  • バックプレートに、ヘッドランプ本体を取り付けます。(写真20)
  • バックプレートに、ハウジングとリフレクターをサンドイッチして固定する形になります。
  • ビスには、走行中の振動による緩みを防ぐため、ネジ止め剤を塗っておきます。
 
[写真21]
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  • バックプレートに、取付ステーを固定します。(写真21)
  • 取付ステーの先には、固定リングを瞬間接着剤で固定し、純正のリフレクターから取り外したコネクタを押し込みます。
  • ステーの取り付けには、M3mmのボルトを使います。ボルトには、必ずスプリングワッシャーを入れておきます。
  • 取付ステーおよび固定リングには、±1mmの遊びを持たせてあり、位置を調整できるようになっています。
  • この時点では、まだ仮組みとし、完全には固定しません。
 
[写真22]
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  • 純正のヘッドランプユニットに、マルチリフレクターヘッドランプを組み込みます。(写真22)
  • バックプレートの上側の2ヵ所のコネクタは、ユニット本体のボルトに捩じ込み、下側のコネクタは、制御用モーターのシャフトに押し込みます。
  • バックプレートがユニット本体に干渉しないよう、取付ステーの位置および長さを調整し、各部のクリアランスを見ます。
  • 位置が決まったら、取付ステーのボルトにネジ止め剤を塗り、しっかりと固定します。
  • ユニット本体の2本のボルトおよび制御用モーターのシャフトには、グリスを塗っておきます。
 
[写真23]
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  • ヘッドランプユニットの裏側です。(写真23)
  • HIDバーナーのコネクタが飛び出しているため、純正のカバーを取り付けることができません。
  • そこで、φ100mmのアクリルパイプ使って、純正カバーのベース部を55mm延長します。
  • ただし、純正カバーのベース部はφ90mmあるため、そのままではアクリルパイプを取り付けることができません。
  • そこで、純正カバーのベース部の左右2ヵ所を削り取り、アクリルパイプを取り付けられるようにします。
  • つぎに、アクリルパイプを、2液式のプラスチック用接着剤を使って固定します。
  • さらに、アクリルパイプの外周部3ヵ所を、M2mmのビスを使って固定します。
  • 純正カバーのベース部とアクリルパイプとの隙間は、コーキング剤を流し込んで防水します。
 
[写真24]
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  • アクリルパイプにカバーを付けます。(写真24)
  • φ100mmのアクリル板の外周部3ヵ所を、M2mmのビスを使って固定します。
  • アクリル板の外周部には、スポンジシートをドーナツ状に切り出したものを貼り、アクリルパイプとの間を防水します。
 
[写真25]
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  • ヘッドランプユニットを、コーキング剤を使って防水処理します。(写真25)
  • この処理が不完全だと、しばらくすると「涙目現象」が発生してしまうので、特に慎重に作業します。
  • コーキング剤は、セメダインさんの変成シリコーンシーラント「POSシール」(ブラック)を使いました。
  • まず、コーキング剤をユニットの外周部に流し込み、ヘラを使って伸ばしながら、厚さが均一になるようにならします。
  • つぎに、クリアカバーを、ユニットと平行になるようにゆっくりと押し込みます。
  • コーキング剤が足りない部分は、適宜補充します。はみ出した部分は、ヘラを使って取り除きます。
  • 1日ほど静かに置き、しっかりと乾燥させます。
 
[写真26]
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  • 組み込み完成です。(写真26)
  • ヘッドランプユニットとクリアカバーとの間を確認し、コーキング剤が痩せている場合には、補充しておきます。

[ヘッドランプユニットの取付]

 いよいよ大詰めです。マルチプロジェクターヘッドランプを組み込んだユニットを、ボディーに取り付けます。

[写真27]
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  • フロントバンパーを取り外し、ヘッドランプユニットを取り付けます。(写真27)
  • ユニット裏側の純正カバーを延長した部分がボディーと干渉するため、フレームの一部を削ります。
  • 削った部分は、必ずタッチアップペイントを塗っておきます。
  • フロントバンパーを取り外すためには、まずフロントタイヤを下ろし、アンダーカバー・左右フェンダーカバーを外します。
  • つぎに、フェンダーカバーの奥に隠れている、左右それぞれ2ヵ所あるナット・1ヵ所あるボルトを外します。
  • 中央部にある左右2ヵ所のボルトと左右2ヵ所のクリップを外すと、フロントバンパーがフリーになります。
  • フロントバンパーやフェンダーを傷付けないよう、脱着は必ず2人で行います。また作業中は、エッジ部にガムテープを貼って保護しておきます。
  • 取り外すべきボルト・ナットは、全部で40個ぐらいあり、かなり痺れる作業です。0xF999
    (エアツールがないと辛いです)
 
[写真28]
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  • ヘッドランプユニットを取り付けた状態です。(写真28)
  • ハーネスやコネクタ類を元に戻し、各種ランプが正常に点灯すること、またオートレベリング機能が正常に動作することを確認します。
  • せっかくフロントバンパーを外したので、「このまま一気にインタークーラーも!」と思ったのですが、時間が無かったので諦めました。
  • ちなみに、ボディーを保護しているオレンジ色のものは、「マイ・フェンダーカバー」です。0xF9F8

[装着比較]

 おそらく日本初!(世界初?)となる、CIMAマルチプロジェクターキセノンヘッドランプの移植が、遂に完成しました。

 純正のディスチャージヘッドランプと比較して、どの程度優れているか、非常に楽しみです。

[写真29]
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  • 消灯時の状態です。(写真29)
 
[写真30]
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  • スモールランプを点灯した状態です。(写真30)
  • 高輝度白色LEDポジションランプの「改良型豪華V6仕様」が、青白い妖しい光を放っています。
    (ロービーム側は間接照明となっています)(笑)
 
[写真31]
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  • CIMAマルチプロジェクターキセノンヘッドランプを点灯した状態です。(写真31)
  • もの凄く明るいです。というか、眩し過ぎです!0xF9CF
    (こんなんで公道走っていいんでしょうか?)
 
[写真32]
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  • 純正ディスチャージヘッドランプの配光パターンです。(写真32)
  • HIDバーナーは、PIAAさんの「スーパーコバルトHIDバルブ」です。
 
[写真33]
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  • CIMAマルチプロジェクターキセノンヘッドランプの配光パターンです。(写真33)
  • 前照灯の規定どおり、下方向に非常に鋭くカットされています。
  • 純正ヘッドランプでは、光軸の延長線上が特に明るなっていますが、CIMAマルチプロジェクターでは、濃淡のムラが少なく、全体に均一に明るくなっています。
 
[写真34]
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  • 純正ディスチャージヘッドランプで、路面を照らした状態です。(写真34)
 
[写真35]
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  • CIMAマルチプロジェクターキセノンヘッドランプで、路面を照らした状態です。(写真35)
  • およそ死角というところがなく、直近から遠方までムラなく路面を照らしています。
  • HIDバーナーから放たれた光が、合計14個のレンズによって収束され、路面に均一に配光されていることが分かります。
  • 右前方への光はきちんとカットされているため、対向車に眩惑を与えることもありません。
  • まさに、理想的なヘッドランプとなっています。0xF995

[インプレッション]

 さて、いよいよ移植した複眼を付けて、街中を走ってみました。すれ違う車のドライバーや街を行き交う人々の視線は、すうっとヘッドランプに吸い寄せられ、つぎの瞬間、
   「なんじゃこれは?」(松田優作風)
という不思議な表情をされます。(というか、そんな気がします)0xF9C7

 それもそのはずです。CIMAの複眼を持つARISTOは、世界にまだ1台しかいないのですから。(2002年5月時点)

[写真36](画面をクリックすると拡大します)
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  • 昼間のフロントマスクです。(写真36)
  • GT-R純正色のガングレーメタリックが、異様なまでのアグレッシブなイメージを醸し出しています。
  • Vitz RSのヘッドランプのように、「可愛くて速い(?)」を狙ったのですが、かなりコワイ顔になってしまいました。0xF9C7
  • ブラックアウトではなく、ボディー同色でも良かったかも知れません。
 
[写真37](マウスカーソルを画像の上に!)
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  • 夜間のフロントマスクです。(写真37)
  • 眩し過ぎです、直視できません!0xF9CF
  • これで、見知らぬルートのナイトドライビングも、安心してできるようになりました。

[おわりに]

 構想6ヶ月、製作2ヶ月。「新型CIMA複眼移植プロジェクト」、遂にここに完成いたしました。1通のメールに端を発した計画ですが、自分でもまさかここまでできるとは思っていませんでした。当初想定していた以上の光量と配光パターンを持った、理想的なヘッドランプを得ることができ、たいへん満足しています。

 CIMAマルチプロジェクターキセノンヘッドランプの移植にあたり、「トヨタビスタ北千葉ベイ稲毛店」「トヨタカローラ千葉幕張店」の皆さま、またここにお名前を挙げることができないご関係の皆さまには、職人の道楽にご協力いただきまして、本当にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。

[おまけ1]

 ヘッドランプのターンシグナルランプのクリヤ化に合わせて、サイドマーカーもクリヤにすることにしました。あわせて、テールランプをUS仕様にしてみました。

[写真38]
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  • 先日発売されたばかりの、TOM'Sさんのクリヤサイドマーカーです。(写真38)
  • 純正オプションのクリヤサイドマーカーはKoitoさん製ですが、TOM'Sさんのものは異なるようです。
     
    品名品番価格
    クリヤサイドマーカー81730-TOP014,500円
 
[写真39]
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  • サイドマーカーは、進行方向に少しずらすことにより、取り外すことができます。(写真39)
  • これで、フロントとサイドから、オレンジ色が消えました。
 
[写真40]
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  • LEXUS GS用のテールランプです。(写真40)
  • US仕様ですが、トヨタ部品共販さんから、「適正価格」にて購入することができます。
     
    品名品番価格始期-終期
    リヤコンビネーションランプ RH81550-xxxxx23,800円9708~0008
    リヤコンビネーションランプ LH81560-xxxxx
 
[写真41]
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  • 国内仕様との違いは、サイドに回り込んだリフレクターがあるかどうかです。(写真41)
  • 分かる人には分かる、分からない人にはまったく分からないという、LEXUSマニア溜飲の一品です。
  • 「リヤもクリヤ化!」と思ったのですが、今回のDIYでかなり創作意欲を消費してしまったので、「またそのうちに」ということで・・・。0xF9C7

[おまけ2]

 ヘッドランプが若干上向き気味だったため、ディーラーさんにて光軸を調整していただくことにしました。

[写真42]
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  • 光軸調整用のライトテスターです。(写真42)
  • ヘッドランプ前方の四角い箱に光を集め、スクリーンの明暗分解線に合わせて傾きを調整します。
  • コンピュータと連動しており、非常に正確に光軸を合わせることができます。
  • 当然ながら、照度(cd;カンデラ)も測定することができますが、最も明るい部分は、ロービームとしては「とんでもない数値」が出ていました。
    (危険なので書けません)0xF9C7

 取り付け後、ある方をとおして、移植したCIMAヘッドランプの車検適合性について、○○陸運事務所の検査官に確認していただきました。その結果は、
   「きちんとした取り付けと取り付け高さ、照度等が基準を満たしているのであれば、問題はない」
とのことでした。

 規制緩和によって、ずいぶんと考え方が変わったものですね・・・。これで安心して公道を走れます。0xF9C6
(ただし、他の地域の陸事では、必ずしも合格となるとは限りません)

[おまけ3]

 工房の情報を元に、「よしき」さんが改良型を製作されましたので、その作品をご紹介します。

[写真43](写真提供: よしきさん)
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  • 「よしき」さん製作の「CIMA複眼」です。(写真43)
  • 放射光の蒼白化のため、ハウジング内部を白色に塗装し、「白目化」されています。
  • さらに、バラストが「ハイワッテージ化」されているという、史上最強のヘッドランプです。
    (推定光量比: 2.7倍 [=1.7倍〔CIMA複眼〕×1.6倍〔ハイワッテージ化(45W)〕)
 
[写真44](写真提供: よしきさん)
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  • 「よしき号」のフロントマスクです。(写真44)
     
    装着後の感想
    • 昨晩ドライブしましたが、かなり明るいですね~!
    • しかも、ムラがなく、影が濃くならない無影灯のようです。
    • 遠くまでよ~く見えるんですけど、こんなに明るくていのでしょうか?!

 おしまい!0xF9C6

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