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燃費マネージャーの取付
'03/03/22初版,'03/04/12更新

[はじめに]

 「DVDボイスナビゲーション付きEMV」装着車には、「FM文字多重放送対応マルチディスプレイ」にある機能のうち、「クルーズインフォメーション」が表示されません(*1)。したがって、平均燃費や瞬間燃費などを走行中に確認することができません。
(*1 1999年8月小変更時点の「DVDボイスナビゲーション付きEMV」)

 これまでは、「満タン法」という昔ながらの方法によって、パーツの装着による燃費の変化を検証してきました。(参照:燃費データ1燃費データ2

 「EMVが付いているのに、クルーズインフォメーションが無いなんて!」と惜しい思いをしていたのですが、このほど、TECHTOMさんから、燃費マネージャー「FCM-2000」が発売されました。まさに待ちに待った製品だったので、さっそく購入して取り付けてみることにしました。この製品は、2002年12月に発売されたばかりの新製品です。

[燃費マネージャーについて]

[写真1]
nenpi_mng01.jpg
  • 今回購入した、TECHTOMさんの「FCM-2000」です。(写真1)
     
    品名品番標準価格購入価格
    燃費マネージャーFCM-200034,800円28,150円

 FCM-2000は、「高精度リアルタイム燃費モニタ」と銘打っているとおり、0.5秒毎に(*2)非常に高精度な燃費データを表示することができます。さらに、ケーブル類は、TOYOTAさんの「故障診断コネクタ」(ARISTOは、TOYOTA国際規格コネクタ「T2」)に接続するだけなので、非常に簡単に取り付けることができます。
(*2 TOYOTA国際規格コネクタ「T2」用の場合)

 本体の大きさは、130mm(W)×55mm(H)×30mm(D)です。横幅と高さは、TECHTOMさんのマルチディスプレイモニタ 「MDM-100」よりは、だいぶ小さくなっています。ただし、奥行きが30mmと、思った以上に分厚かったため、取り付ける場所を選んでしまうかも知れません。

[燃費の分かる仕組み]

 FCM-2000では、ECU(エンジンコントロールコンピュータ)から送られてくる各種データより、燃費を表示しています。ただし、それらのデータには、直接「燃費」の情報が含まれている訳ではありません。それでは、どうやって燃費を算出しているのでしょうか?

 燃費[km/L]とは、“ある一定量の燃料で走行できた距離”です。したがって、「燃料使用量[L]」と「走行距離[km]」が分かれば、算出することができます。

〔燃料使用量〕

 まず、燃料使用量ですが、これはインジェクターからの「燃料噴射量[L]」から求めることができます。しかし、ECUからは、“ガソリンを何リットル噴射したか”という「噴射量[L]」のデータが送られてきている訳ではありません。代わりに、“ガソリンを何秒間噴射したか”という「噴射時間[ms]」のデータが送られてきています。

 したがって、この燃料の「噴射時間」を「噴射量」に変換する必要があります。

 たとえば、ある一定時間に噴射した燃料の量は、
    噴射量[L] = 燃料係数α × 噴射時間[ms]
として求めることができます。

 ここでいう「燃料係数α」とは、車種やエンジン形式、年式等によって異なる、車両固有の値となります。簡単に言えば、‘インジェクターの容量(に比例した定数)’だと思ってください。

 この燃料係数αは、“ある一定量の燃料を消費するまでに燃料を噴射した時間”から逆算することができます。これは、たとえば「満タンにした時の給油量[L]」と「前回の給油から満タン時までに燃料を噴射した時間の合計[ms]」から求めることができます。
(けっきょくは、また「満タン法」なのですが・・・)(笑)

〔走行距離〕

 つぎに、走行距離ですが、これもECUからは、「車軸パルス」というデータが送られてきています。これは、その名のとおり、“タイヤが1回転する毎に送られてくるパルス信号”です。

 したがって、「タイヤが1回転する毎に進む距離[km]」と「車軸パルスの回数」とが分かれば、「走行距離[km]」を求めることができます。
(ちなみに、「タイヤが1回転する毎に進む距離[km]」と「車軸パルスの間隔[ms]」とが分かれば、「車速[km/h]」を求めることができますよね)

 たとえば、ある一定時間に走行した距離は、
   走行距離[km] = 距離係数β × 車軸パルス数
として求めることができます。

 ここでいう「距離係数β」も、車種やタイヤサイズ等によって異なる、車両固有の値となります。簡単に言えば、‘タイヤ外周の長さ(に比例した定数)’だと思ってください。

 この距離係数βは、“ある一定距離を走行するまでにカウントした車軸パルス数”から逆算することができます。これは、たとえば「前回の給油時から満タン時までの走行距離[km]」と「満タン時までにカウントした車軸パルス数の合計」から求めることができます。

 これらの燃料係数αや距離係数βから、燃料使用量[L]と走行距離[km]を割り出すことにより、燃費[km/L]を算出することができます。たとえば、ある微少時間における燃料消費量からは「瞬間燃費」を求めることができますし、ある長い時間における燃料消費量からは「平均燃費」を求めることができます。

 FCM-2000では、この燃料係数αや距離係数βを、「係数入力」または「実数入力」によって設定・補正することができます。
(この方法については後述します)

[燃費マネージャーの取付]

 能書きはこれくらいにして、さっそく燃費マネージャーを取り付けてみることにしましょう。

[写真2]
nenpi_mng02.jpg
  • 燃費マネージャーを、コンソールに取り付けたところです。(写真2)
  • ド真ん中に取り付けると警告灯類が見えなくなってしまうので、この位置にしました。
  • さらに、ハンドルの「オートアウェイ」機能が作動するとぶつかってしまうので、S-2000を使ってこの機能をキャンセルしました。
 
[写真3]
nenpi_mng03.jpg
  • 燃費マネージャーからのケーブルを、車両側に接続したところです。(写真3)
  • コネクタは、TOYOTAさんの国際規格コネクタ、「T2」です。
  • 車両側への接続は、これだけで終わりです。

[係数の補正]

 前述のとおり、燃料係数や距離係数は車両固有の値ですので、この係数を正確に設定しないと正しい燃費は表示されません。燃費マネージャーの初期状態では、これらの係数は適当な値が設定されているので、“平均燃費23.4[km/L]”などという、「お前はPRIUSかっ!」というような値を表示してくれます。(笑)

 FCM-2000では、これらの係数を、「係数入力」または「実数入力」によって設定・補正することができます。通常は、「実数入力」によって正確な値に近付けていきます。具体的には、満タンにした時に、“「給油量」と「走行距離」を入力する”という作業を行います。

 この2つの数値を入力することで、燃費マネージャーが燃料係数と距離係数とを自動的に計算してくれます。この作業を、満タンにした時毎に3回ほど行うことにより、表示誤差を2%程度に収めることができるとのことです。

[写真4]
nenpi_mng04.jpg
  • 「実数入力」により2つの計数を補正する画面です。(写真4)
  • 写真は、まだ走行距離が少ない時点のものです。実際には、満タンにした時に、前回の給油時から満タン時までの走行距離と給油量を入力します。
     
    補正回数走行距離
    [km]
    距離係数給油量
    [L]
    燃料係数燃費*1
    [km/L]
    燃費*2
    [km/L]
    1436.6102057.556607.67.2
    2509.3101266.153007.7 
    3      
    4      
    5      
    *1 満タン法による燃費
    *2 燃費マネージャーによる燃費

[表示形式]

 燃費マネージャーには、3つの表示形式があります。

[写真5]
nenpi_mng05.jpg
  • 表示形式を「デジタル」に、表示桁数を「3桁」にしたところです。(写真5)
 
[写真6]
nenpi_mng06.jpg
  • 表示形式を「アナログ」に、表示項目を「瞬間燃費、平均燃費」にしたところです。(写真6)
  • 瞬間燃費が、画面左側に円グラフ状に表示され、平均燃費が、画面右側に数値で表示されます。
  • この表示形式が一番見やすいと思います。
 
[写真7]
nenpi_mng07.jpg
  • 表示形式を「グラフ」にしたところです。(写真7)
  • 写真は、まだ走行距離が少ない時点のものです。実際には、90分前までの平均燃費が、棒グラフとして時系列に表示されます。

[おまけ] “スーパーガスターボについて”

(以下、まだ編集中)

[写真8]
Now Making
  • これが、「日本環境電装」さんの「スーパーガスターボ 5C-K」です。(写真8)
  • エンジンブロックとインテークマニーホールドの間に挟む、厚さ1cmほどのインシュレーターです。

 スーパーガスターボの原理を非常に簡単に説明すると、いわゆる「超音波加湿器」と同じような仕組みです。

(以下、まだ編集中)

 デメリットとしては、高回転域では、インテークマニーホールドからの混合気の流速が非常に高くなりますが、ガスケットに取り付けられた超音波コイルが吸入抵抗となってしまい、吹け上がりが鈍くなってしまうことです。ただし、普通の乗り方をしていれば、超音波コイルが吸入抵抗になってしまうほどブン回すことはないでしょうから、補って十分余りあるものと言えます。

[写真9]
gas_turbo02.jpg
  • スーパーガスターボの本体です。(写真9)
  • エンジンブロック(写真中央上側)とインテークマニーホールド(写真中央下側)との間に挟まっている、乳白色をしたものがそれです。
 
[写真10]
gas_turbo03.jpg
  • これが、「ECS-SGT 5C」、スーパーガスターボの主装置です。(写真10)
  • バッテリーの直流から、超音波コイルを発振させるための高周波を作り出します。
 
[写真11]
gas_turbo04.jpg
  • これが、「S-LAC Type-R」(Sports Lean Auto Controller)、いわゆる燃調コントローラーです。(写真11)
  • めったに調整するものではないので、グローブボックスの中に取り付けました。
  • (余談)LEXUS CDチェンジャーマガジンも、トヨタ部品共販さんから手に入るのですよ。
    (某店では4倍近い値段で売っているようですが・・・)0xF9D1

 S-LACは、エアフロセンサーの信号に割り込ませ、ECUが感知する吸入空気量を操作することにより、空燃費(燃調)をコントロールします。空気がたくさん入ったと見せかけることにより燃料を濃く(リッチ)し、少なく見せかけることにより薄く(リーン)します。

 緑色のボリュームは低中速域のマップで、左端がノーマルで、右に回すとリーンになります。赤色のボリュームは高速域のマップで、中央がノーマル、左に回すとリッチ、右に回すとリーンになります。低中速マップと高速のマップとは、アクセルペダルに取り付けた「スロットルポジションスイッチ」で切り替わります。

 通常は、低中速マップで燃料消費を抑えながら高燃費で走行し、ここ一発の時は、アクセルを深く踏み込むことにより高速マップに切り替わり、フルパワーでの加速ができるようになります。

(以下、まだ編集中)

  
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